この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」/池上彰

この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」 池上彰教授の東工大講義 日本篇 (文春文庫)』を読んだよ。戦後史は知っておくべし。

東京工業大学教授という肩書を持つ池上彰氏。そこで、教員という立場で戦後史を語るというコンセプトで書かれたもの。だから、タイトルに「この日本で生きる君が知っておくべき」という形容詞句があるわけ。

戦後史というと、日本史の授業では端折られる定番ということになっているけれども、それに関して、池上氏は、

歴史を教える人にとって、戦後史は現代そのもの。自分が経験してきたことは「歴史」と感じません。ところが、自分が経験していない人にとっては、それは歴史なのです。この認識の落差が、戦後史を空白にしてきたのだと思います。
という見解。だからこそ、ここで池上氏が学生に戦後史を語る必要があるんだろうね。そして、もう一つの見解は、今の社会がこうなっている経緯を知ることにもなるからというもの。この意味合いは強いよね。経緯を知らずには理解は深まらないだろうし。

戦後史と言っても、内容は様々。国際問題は、アメリカとの関係が中心にはなるけれども、そこに中国、韓国、北朝鮮の話も絡んでくる。そして、アメリカとの関係から、防衛問題と憲法問題。それが政府の見解に繋がって、政治の話。政治と言っても、政治そのものではなく、政治体制の話が中心かな。

そんな中で、池上氏らしく、チクリとしたコメントを散りばめるよ。
国学力テストの話では、今の制度では前年度との比較ができないことに対し、悉皆調査から抽出調査に変更することを提案し、その上で、

統計学的には、これで十分に意味のある調査ができることを、東工大の学生なら理解できますね。こうした当然のことが実現できないのですから、日本の教育関係者の「学力」が心配になります。
と、かなりグッサリ。でも、おっしゃる通りだよね。

もう一つは、日本国の財政赤字について。高度成長期は国民に「利益の配分」があったがという観点から、

利益の分配ではなく、「不利益の分配」になってしまっているのが現実です。現実を見据え、国民に不利益の分配を認めてもらう。そんな政治家の出現を期待したいのですが。
と。いまだに高度成長を夢見ている人たちが多過ぎるからね。あっ、バブルもそうか。
さて、日本はこれからどうなるのか。まずは、今度の選挙の行方を見守らないと…。
この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」 池上彰教授の東工大講義 日本篇 (文春文庫)
この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」 池上彰教授の東工大講義 日本篇 (文春文庫)池上 彰

文藝春秋 2015-07-10
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