パンツをはいたサル/栗本慎一郎

【増補版】パンツをはいたサル: 人間は、どういう生物か』を読んだよ。パンツという比喩。

旧版が光文社のカッパ・サイエンスから出たのが1981年というからカレコレ30年位上も前のこと。筆者の栗本慎一郎の名前もこれによって、メディアに度々登場するようになったのだろうと思う。
その旧版の頃から気になっていた本書。多分、「パンツ」というキーワードがネックになっていたのか、結局は手にとることはなかったわけ。ところが今年、増補版が発刊。本屋で発見した時はビックリで、気がついたら読みたい本のリストの第一候補になっていた。

前段が長くなったが、本書。
副題は「人間は、どういう生物か」という至って真面目なもの。実際的にこの副題が主題を表しているような…。パンツに惑わされてはいけない。
で、筆者はサル以上にヒトが進化したのは何故か?を探る。まずは、ヒトは生存と種の維持に不必要な、余分なものを生産するという点に疑問を呈す。それを「パンツをはいた」と比喩するわけ。そして、その理由を、

結論から先に言ってしまうと、生産したものをある瞬間に破壊し、蕩尽してしまうことが、ヒトにとってこのうえない快楽であるからである。そして、快楽なしにヒトは生存も進化もできなかったからなのである。
と言っているよ。大いなる無駄が快楽に繋がる…。蕩尽し尽くす。快楽なのは分かるけど、進化に必要だったとは…。

そして、蕩尽という行為はエントロピーの処理として意味づけられる。つまり、

たとえば、戦争における敵兵の殺戮と、日常的な殺人事件は、人を殺すということではまったく等しい行為だ。ところがエントロピーの考え方を共同体に適用すると、戦争の殺戮は共同体内の高エントロピー処理に役立ち、共同体のシステムを維持するものだから、英雄的行為として法によって許される。
ということだと。そして、その「法」とはパンツであると。うわっ、ここでエントロピー来るか…という感じ。研究者の発想は違うなぁ〜。

ということでパンツ。人間が人間たるべきものはすべてパンツになりそう…というのが自分の結論でした…。

【増補版】パンツをはいたサル: 人間は、どういう生物か
【増補版】パンツをはいたサル: 人間は、どういう生物か栗本 慎一郎

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