東京道路奇景/川辺謙一

東京道路奇景』を読んだよ。奇景には見えないけど…。

東京の道路は奇景だという視点から、各所の道路を眺めてみるという企画の本書。そもそも本当に奇景なのか?っていう疑問。慣れ親しんだ東京の風景が奇景だったら、奇景でない風景って何?って感じもするけど、どうやら世界の各都市との比較から言っているみたい。特にパリやニューヨークと比較すると東京は独特なのかもしれないね。

さて、どんな点が特徴的なのか。
まずは未だに都市計画道路が未完成であるということ。鉄道網の整備が進んでいることで道路の必要性が遅れていることがその要因だとか。そういえば、子供の頃から道路になりそうと思っていたところが、未だに行き止まりだったりするからね。
だから、筆者は「東京には伸びしろ」があると主張しているよ。言い得て妙。なるほどね。

では、どうしてこうした奇景が生まれたのか。
江戸期の道路網も関係しているし、明治期は鉄道の時代、そして昭和、しかも戦後から急ピッチで道路整備が進んだわけで、いかに早く整備するかという点で、創意工夫した結果が奇景を生んだという論調。
だから、川の上に首都高が通っていたり、急カーブが多かったり、高架に上がったかと思うと地下トンネルに入ってみたり…。いや、こういう風に書いてみると確かに奇景か…。

それでも、首都高のカーブの美しさとか、何層にも重なった高架橋を下から見上げたりすると、人口美を感じたするのは、自分がすっかり東京の人だからなのかもしれないね。だから、あえて「奇景」とは言いたくないなぁ〜。

東京道路奇景
東京道路奇景川辺 謙一

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