機長、究極の決断/C・サレンバーガー
『機長、究極の決断 (静山社文庫)』を読んだよ。普段の行動から生まれるもの。
2009年1月15日に発生したUSエアウェイズ1549便のハドソン川への不時着水という事故。何となく記憶にあると思う。その時の機長であるC.サレンバーガー氏の手記と自伝で構成するのが本書。
どうして自伝?って思うかもしれないけど、機長の半生がこの事故を最悪の結果に終わらせなかった「決断」を産んだものでもあるからなんだろうと思う。
さて、どうして無事に帰還することができたか。ずばり機長は、
実際に役立ったのは、長くジェット機を操縦してきた経験とエネルギー管理に細心の注意を払ってきた結果だと思う。何千回もの飛行のなかで、毎回最適な飛行経路を飛ぼうと努力を重ねてきた。1549便ではそのことが何よりも役に立った。と言う。そう不断の努力と言ってもいいかもしれない。手を抜かない、ストイックな性格な機長ならではの言葉だよね。
さらには、戦闘機のパイロットでの経験も活かされているんだろうね。空軍事故調査委員会での経験から、
どんな空軍事故の調査でもそうだったように、調査員たちは何が起きたのかを明らかにするため、あらゆる状況を細部まで徹底的に分析した。パイロットは死してなお、他のパイロットたちの安全を確保するために責任を果たし続けているかのようだった。と機長は言っているよ。「安全の確保に対する責任」に対して真剣に対峙しているんだよね。
最後に機長の使命。
すべての経験、知識を駆使して瞬時に判断を下し、できないことを把握しつつ、持てる力をすべて発揮する。そんな緊迫した状況がいつ訪れるかもわからない。それを自覚し、プロとしての重圧を背負うのが機長の使命なのだ。と。そんな重圧に耐えられるだろうか。いや、その重圧に耐えても、空を飛ぶという行為には何か人を引きつけるものがあるんじゃないかと思う。
機長をはじめとする1549便の5人のクルーに喝采。
機長、究極の決断 (静山社文庫) | |
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