空飛ぶ馬/北村薫
『空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)』を読んだよ。人が死なない推理小説。
『八月の六日間』で知った筆者の北村薫。過去の著作も調べてみたら、デビューは推理作家だったみたい。というわけで、推理モノの最初の一冊が本書。
主人公は女子大生の「私」。そのお相手が見事に難事件を解決するのが春桜亭円紫という落語家という設定。いわゆる連絡という形式で、6つのストーリーそれぞれにちょっとした不思議なことが起こり、「私」が円紫師匠に謎解きを依頼するというわけ。
そもそも「私」は落語好き。そして、探偵役が落語家だから、まずは落語の話題から入り、それが謎解きに繋がっていったりする。それだけではなく、「私」らしく、当世女子大生っぽい話題もあったり、大人への階段を登るために知っておかなくてはいけないこともあったりと。だから、6つのストーリーでは、「赤頭巾」と「空飛ぶ馬」が印象深かったかな。
それにしても、男子の北村薫氏は、女子の気持ちの表現がうまい。
今夜は丁寧に髪を洗おう。こういう表現って、男子でイメージするのって難しいだろうなぁ〜。
いよいよ数を増す白銀の天の使いに、私はそっと呼び掛けた。
―――それまでは、雪よ、私の髪を飾れ。
空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書) | |
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