降霊会の夜/浅田次郎

降霊会の夜』を読んだよ。死者に会いたいか?

kindle本は積読状態のものが何冊もあるんだけど、本書のそのうちの1冊。紙の本が欠乏した時の隙間に読むことが多いので、ついつい積読になり気味。で、今回はその隙間。多くの積読本のうち、何を読むかはその時の気分と次の紙の本の調達タイミングを考えるわけ。そろそろ仕事も忙しくなってきて、本を読む時間が限定されてくるし。結局、本書が選択されたのは特段の理由はないんだけどね。

なんとも不思議な物語。ある男が自分の人生の悔悟を告白と共に振り返り、その当事者たちを呼び出して話をするという物語。そう、シチュエーションは霊媒師なんだけど、本質はその話の中身なんだけどね。
そして、時代背景。主人公は筆者と同じ1951年生まれ。団塊世代の終焉期。高度成長期を子供時代に過ごし、大学紛争はちょっと外れているということで微妙な世代と言えるかも。

その主人公が小学校の時に出会った友人と学生時代の恋人に会いたいと願う。「降霊会」では二晩に渡って、この二つの物語に関わった人物が降りてくる。亡くなっている人もいるけど、生きている人も呼びだされたりして…。

主人公曰く、

この歳まで生きて、悔悟のないはずはない。罰は下されなくとも、おのれの良心に問うて罪だと思うくさぐさは山ほどある。だが、それらを懺悔して贖罪するなど、あまりに都合がよすぎるではないか。
と。それでも、生きていけるのは、日常に紛れてそれらを一旦は忘れたことにしてしまっているからなんだよね。

いや、本書を読んで、改めて過去を考えては見たけれども、忘れてしまったことが多そうだ。だからと言って、降霊会を開く気にはならないんだけどなぁ〜。

降霊会の夜
降霊会の夜浅田 次郎

朝日新聞出版 2012-03-07
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