経営組織/金井壽宏
『経営組織―経営学入門シリーズ (日経文庫)』を読んだよ。組織って難しい…。
組織について勉強中ってことで、その推薦図書の一冊が本書。日経文庫と言いながらも新書版で、手軽で読みやすい感じ。いや、感じではなく、実際に読みやすかったけど。
内容としては、簡単に言ってしまうと、事業体における組織のあり方について、さまざまな学説と事例を紹介したもの。紹介っていうとなんだか軽い感じがしなくもないけど、実際は論理的にまとめられているから、「学んだ!!」という読後感はあるよ。
そして、本書の特徴。「はじめに」に書かれているんだけど、「働く個人からの視点」で書かれているってこと。組織論っていうと、まずは会社有りきっていう切り口で上から目線のような気がするけど、本書は個人の視点からボトムアップ。精神的にもやさしいかも。
具体的な内容も書きたいんだけど、それが多岐に渡るため、今回はちょっと無理そう。で、米国企業デュポン社の例を紹介してみることにする。
ここで、もっとも注目すべき点は、これらの点を調査した結果、デュポン社では1920年早々に「根本的な問題は販売上の問題ではなく、組織の問題である。…わが社が成功を収めた製品系列と、ペイント・ワニスなどの系列との間に大きな差異を生ぜしめた原因は、ことごとくわが社自身のなかにある」と結論したことです。という話。いや、こう言えるって凄いこと。つい誰かのせいにしたり、外部環境のせいにしたりしがちだから。さらには、これって「働く個人からの視点」的にも嬉しい結論だよね。
但し、最後に厳しいお言葉。
新たな組織のあり方は、自社で真剣に実験しない限りレトリックにすぎませんし、一人ひとりのキャリアのあり方も、自分でそれを生きてみない限り絵に描いた餅です。と、ベンチマークによるいいとこ取りの発想を戒める。体験こそ本当の知識って、ここだけの話じゃないからね。
さて、わが社の組織改革、どうしようかなぁ〜。
経営組織―経営学入門シリーズ (日経文庫) | |
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