森の聖者/加藤則芳

森の聖者 自然保護の父ジョン・ミューア (ヤマケイ文庫)』を読んだよ。自然保護は戦いだ。

ヤマケイ文庫が出た頃から気になっていた本書。小学館文庫からも出ていたけど、ちょうど電子書籍版も出ていたので、ひとまず積読。(電子書籍の場合、この表現が適切かどうか…。)ちょうど、紙の本が切れたタイミングで読み始める。
筆者は『ぼくのペンションは森のなか』などを書かれた加藤則芳氏。残念ながら、お亡くなりなったよう。『ぼくのペンションは森のなか』はちょっとした憧れだったんだけどね。

で、本書は、イギリスで生まれ、幼い頃に家族でアメリカに渡り、その後自然保護活動にその人生を賭けたジョン・ミューアの記録。

では、どんな人生だったのか・
若い頃はとにかく放浪生活。地質学や植物学を学び、アメリカの山を歩き回り、フィールドワークする。だから、自分の住所は地球という惑星であるという意識。例えば、

日誌の背表紙には「ジョン・ミューア、惑星=地球、宇宙」と書き込まれていた。
という感じ。ただ、ある意味、家族との訣別のための決心だったのかもしれないね。

ただ、放浪するだけでのミューアではなく、社会的な活動者としてのミューアがその後に登場するよ。つまりは、

しかし、社会から隔絶されたところで、自らの喜びのために、静かで平穏な生活を送ろうとした過去のナチュラリストミューアではなく、今度は社会に深くコミットしていこうとする、新しい顔をもったナチュラリストミューアが登場するのである。
ということ。こうして社会的な活動を広げていき、認知されていくミューア。本人の意思とは微妙な齟齬があるんだけどね。

最後にミューアの基本的な考え方。それは、

実際に行って、見て、感動することが、その自然を守ることにつながる、というミューアの信念が、アウティング活動の基にあった。自然破壊を嘆き、怒り、立ち上がり、救うためには、まず行って、見て、感動した人の心のなかからはじまる。ここから、旅行が自然保護の鍵だ、というミューアの発想が生まれた。
ということ。本文中には同様な記述が何度も出てくるよ。まさに「百聞は一見に如かず」。それはミューアの自然保護でも通用する言葉なんだよね。

あ〜、山の季節だ。自然観察に出掛けたいなぁ〜。

森の聖者 自然保護の父ジョン・ミューア (ヤマケイ文庫)
森の聖者 自然保護の父ジョン・ミューア (ヤマケイ文庫)加藤 則芳

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