白夜/ドストエフスキー
『白夜 (角川文庫)』を読んだよ。ここにも悲しい青春がある。
何の気の迷いか、初のドストエフスキー。ロシア文学は気になってはいたんだけど、あの長編だらけのドストエフスキーは絶対無理と諦めていた気はある。ところが、何となくkindle本を覗いていると、本書がバーゲンセール中。しかも、ドストエフスキーにしては短編とか。で、思わず1 click購入。表紙が気になったっていうもの要因かも。
冒頭は独白。あ〜、このままでついていけるのかと憂慮するが、しばらくすると普通の小説らしく、登場人物の会話が出てくる。ホッとするし、スイスイ読めてくる。でも、独白とセリフが繰り返すのは、最後まで変わらず。
で、ストーリー。恋愛小説と言ってしまえば、それまで。古今東西、青少年の恋愛は変わらないってこと。例えば、男は女に向かって、
じつはどんな女性でもいいから知合いになりたいのだがその手だてがなくて困っているのだといって、自分のような不幸な男の臆病な哀願をむげにしりぞけないことは、女性としての義務でさえあると、相手を説き伏せようというわけです。といったことまで言ってしまう。あまりに正直すぎるというか素直というか。いや、普通の青少年ってそんなものかも。
さらに、話を続ける男。
だからぼくは大河のような言葉を吐きださずにはいられないんです、でないと息がつまってしまいますよ。と無我夢中っていうか、話さずにはいられないって感じ。いいよなぁ〜、若いって。
よくよく考えてみれば、よくあるストーリーかもしれない。男の一途さと女の優柔不断が交錯する。ただ、お互いの言葉はそれとなく美しい。そして、物語の舞台も美しい場所を思わず想像してしまったり。何となく、小樽の倉庫街をイメージしたんだけど。やっぱり、ロシアへの憧れってあるのかなぁ。ってことで、ドストエフスキー、気に入りました〜。
白夜 (角川文庫) | |
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