ホーキング、宇宙を語る/スティーヴン・W. ホーキング
『ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)』を読んだよ。語るには難解…。
筆者は、「アインシュタインの再来」とか「車椅子の天才」といわれるホーキング博士。博士の名前を知らない人は少ないと思うし、車椅子に乗った博士の姿をTVなどで見たことがない人も少ないはず。その博士が一般読者向けに宇宙についての諸々を解き明かしたのが本書。
一般向けとはいえ、かなり難解。アッシ的には、久しぶりに精神の緊張を伴う読書を敢行したという感じ。全体の半分は理解せずに読み進んでいたかも。以前から宇宙本を読み漁っていたアッシがそういう状態だから、予備知識のないまさに一般読者にはかなりの緊張を伴うかも。
前半は他の類書と同様に、人類が宇宙をどのように解明してきたかを語る科学史。天動説から始まって、地動説のガリレイ。万有引力の法則のニュートン。そして、相対性理論のアインシュタイン。ここまでが王道の3人だけど、現代科学はこれらの理論をさらに発展させているんだよね。
それは、宇宙膨張論、ブラックホール、素粒子物理学から量子論まで。これらの理論が宇宙解明のベースになっていることが楽しいんだけど、やっぱり分からないものは分からない。でも、それはそれでいいと割り切って、感じた楽しさだけを楽しめばいいんだよね。
で、ホーキング博士にしても、創造主たる神の役割について、考えることを忘れない。博士の論理の帰結は「宇宙と時間は、境界のない閉じた局面を形成しているかもしれない」ということ。これに対し、博士は、
だがもし、宇宙が本当にまったく事故完結的であり、境界や縁をもたないとすれば、はじまりも終わりもないことになる。宇宙はただ単に存在するのである。だとすると、創造主の出番はどこにあるのだろう?と言う。神の否定か?なんて思うけど、博士にしては素朴な疑問なのかもしれないね。
最後は統一理論の話になるんだけど、博士の見解は近いうちに解明されるだろうと楽観的な予想。本書の単行本が発刊されたのが1987年だから、ちょっと予想は外れたかも。いや、統一理論は構築されていなくても、宇宙論は目覚しい発展をしているんだよね。それは、ホーキング博士の実績の賜物なんだろうね。
ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF) | |
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