図書館に訊け!/井上真琴

図書館に訊け! (ちくま新書)』を読んだよ。まじめに勉強すると奥が深い。

だいぶ以前から気になっていた本書。ひょんなことから筆者の講演を聞く機会があり、なるほどこんな人だったんだと益々興味が増したところで、漸く読む機会に恵まれたわけ。
発刊が2004年だから、かれこれ10年ほど前。でも、図書館の仕事の基本は変わっているはずもなく、ざっと概観するにはちょうどよい感じ。

本書の内容としては、図書館利用法徹底術。とにかく、調べ物をしたければ、図書館に行けということ。但し、ただ行っただけではだめで、さらに何をどう利用するかを詳細に且つ事例を大量に紹介しながら解説しているよ。

とは言え、当然ながら、心構えのようなことも必要なわけで、

そもそも資料や情報というものは、待っていても絶対に現れない。自分が能動的にアクセスの意思をみせたときに、むこうから自然と姿を現し始めるものなのだ。
とモチベーションを保持することがポイントになると言っているよ。いわゆるセレンディピティ?ちょっと違うかなぁ?

そして、具体的な図書館利用法。諸々の資料の種類の紹介から始まって、その探索方法まで。特に探索は奥が深い。
アッシが感心したのは、リファレンスブックの使い方。単なる辞典や辞書としてしか考えていなかったけど、その使い方は様々だし、応用が広範に渡る。しかも、筆者は必ず複数を引き比べることが肝要であると言う。それは、

同じ項目を掲げていても、同じ主題を扱っていても、記述内容、項目の立て方や編集方針、図表の表示方法、参考文献の選択まで、それぞれ異なっているからだ。
ということ。この差が貴重な情報になるんだよね。

そして、「訊け!」という意味では、リファレンスサービスも欠かせない。この「図書館に訊く」という行為は図書館自身を育てるためにもあるのだと筆者。

私は図書館という存在自体が、「人類の巨大なリファレンス・ブック」であると考えている。図書館所蔵の資料、アクセスのための目録、リファレンス・サービスなど、モノとヒトの総合的な知識の索引として存在しているといってよい。利用者から訊かれることがなければ、巨大な索引の進化はないし存在意味もない。
そっか、そう捉えることができるんだ。いや、これはアッシにとって新しい知見。図書館にとっても、「訊かれる」という外部からの刺激が成長の糧となるんだよね。
図書館に訊け! (ちくま新書)
図書館に訊け! (ちくま新書)井上 真琴

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