「やりがいのある仕事」という幻想/森博嗣

「やりがいのある仕事」という幻想 (朝日新書)』を読んだよ。そもそも仕事って何?

本書の内容を一言でいうと、『すべてがFになる』森博嗣氏が“仕事”という概念を分析的に語る…という感じ。仕事の悩みって、人それぞれにいろいろあると思うけど、筆者のように沈着冷静に分析してみると、すごくあっさりした結論になる。その分析が哲学的というか、理系の理論というか…なので、悩んでいる人から見れば「冷たい」印象なんだけど、理屈としては当然の帰結となるんだよね。

では、具体的にはどう言っているのか。
まずは、「仕事で人間の価値が決まるものではない」ということ。仕事とは、社会のルールの中で役割が与えられているだけであって、人間の価値とは無関係。だから、人間の価値は自分で決めればよいし、仕事も自分で決めればよい。それが自由というものだと。

さらに価値観について。

大人になったのだから、自分のことは自分で褒めよう。自分で褒めるためには、何が自分にとって価値のあることなのかを、まずは考えなくてはならないだろう。
と言う。ここにも“自由”があるよね。

そして、問題の解決方法について。

個人的な悩みの解決のキィになるのは、一般論、客観論、そして抽象論である。何故なら、具体的なことは、本人がもう十分に考え尽しているからだ。
そう、具体的な解決案がない場合はもっと一般的に考えてみる。視点を変えるとか、俯瞰的に見てみるとか。これってやっぱり哲学的なのかもしれないね。

本書のキーワードは“自由”だよね。「やりがい」ってなんてものはそもそも存在しないのかも。夢中に仕事をしていたら、あっという間に時間が過ぎてしまっただけだったかも。あれが「やりがい」だったのかなぁ〜。

「やりがいのある仕事」という幻想 (朝日新書)
「やりがいのある仕事」という幻想 (朝日新書)森博嗣

朝日新聞出版 2013-05-10
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