文部科学省/寺脇研

文部科学省 - 「三流官庁」の知られざる素顔 (中公新書ラクレ)』を読んだよ。官僚とはいえ、人の仕事。

筆者の寺脇研氏は官僚で文科省に勤めていた時期からメディアに登場して、アッシ的には当時からちょっと気になる存在。文科省を辞めた後に『官僚批判』と上梓し、この本も気になっていた。で、タイミングよく本書の出版。新書だったし。

第一部は文部科学省という組織の話。文科省の歴史から始まるんだけど、本書の中でよく出てくる「政策官庁」という言葉が早速登場する。つまりは、事業を維持するためだけに機能する「事業官庁」から、新たな政策を立案し進めていく「政策官庁」に文科省は変わっていったという歴史を説明しているよ。これを、

それまでは事業を着実に実行し、予算をできるだけたくさん確保するのが本分とされてきた銀行か何かのような堅苦しい雰囲気の役所が、政策を実現するための工夫やアイデアに知恵を絞り政策の広報にも意を配る企画会社のような要素をも持つものになっていった。目の前が明るく開けたような気がしたのを記憶する。
と表現しているよ。確かに「ゆとり教育」あたりから、いろいろな政策が実行されてきている感じだよね。ただ、その背景には、日教組対策に追われていた時代からの脱却という歴史があるわけだよね。

そして、もう一つのキーワードが「生涯学習」。昨今の言葉のように思うけど、文科省的には政府の教育方針としてはその臨教審から始まったものらしい。だから、今の政策はすべて「生涯学習」に繋がるということ。

よく分かったのが、臨時教育審議会、中央教育審議会教育再生実行会議などの諮問機関の立ち位置。誰の諮問でその権限は何か?ということ。そして、その機関に対する文科省の立場。これが分かると政策の意味するところの理解も深まるような気がするよね。

後半は文科省で働く人たちのこと。キャリア、ノンキャリアの違いはあるけれども、組織として一体となって働いていることを強調しているよ。こういう話を聞くと、文科省に親しみが多少は湧くよね。同じ人間、同じ日本人が働いているんだからね。

文部科学省 - 「三流官庁」の知られざる素顔 (中公新書ラクレ)
文部科学省 - 「三流官庁」の知られざる素顔 (中公新書ラクレ)寺脇 研

中央公論新社 2013-11-08
売り上げランキング : 4841


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

応援クリックはこちら→にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ