左腕の誇り/江夏豊

左腕の誇り―江夏豊自伝 (新潮文庫)』を読んだよ。江夏ってそんなに凄かったんだ。

副題が「江夏豊自伝」。そう、昭和42年から同59年までプロ野球で活躍したあの江夏豊の自伝。自伝とは言っても、波多野勝氏がインタビューなどから構成したもののようだよ。半分以上は波多野氏の文章だし。
そもそもアッシはドラゴンズファンだけど、思わず予約してしまったのは、いわゆる人物伝が好きだからか。プロ野球が好きだということもあるんだろうけど。

さて、本書。自伝の中心は大活躍した阪神時代が中心に構成されているよ。
まずは入団1年目と2年目。これが凄い活躍だったんだね。この時代はアッシ自身が野球を知らなかった頃。しかも2年目は25勝。今では考えられない勝ち数だけど、やっぱり八面六臂の活躍で、先発有りリリーフ有りの登板だったみたい。結局このことが体を壊す元になったんだろうけどね。しかし、その後の江夏は“考えた”。

やはり考えている人間が長持ちするし、勝てる。何も考えずに、感性だけで力任せにやっていると、ある部分が狂うと全部崩れていくんじゃないかな。
と言う。例として登場するのが、日本ハム木田勇工藤幹夫。木田は感性だけで投げていただけ、工藤はキャチャーの言う通りに投げていただけだったと。確かにこの二人、最初は凄い活躍だったけど、あっという間にダメになったような。さらに、あの怪物江川も考えていないと指摘しているよ。さらには江川の解説はヘリクツだとも。そう言われてみれば…。

そして、南海へのトレード。
体調が悪いながらもそれなりの成績を残していたけど、当時の阪神お家芸・内紛の犠牲になったのかもしれないね。当時のゴタゴタが事細かに書かれているけれども、江夏自身はチームの為に戦い、身勝手な振る舞いはしていなかったと語られているよ。

南海も2年でトレード。行き先は広島。
江夏自身は、この広島での3年間が一番幸せだったと言っているよ。確かに優勝しているし、リリーフという役割を自分自身で納得していたので、落ち着いて仕事ができたのかもしれないね。

それでも広島は3年。日本ハムも3年、西武で1年。
この間のトレードの事情を見ていくと、結局江夏自身の取り扱いに困ってのトレードという印象が拭えないんだけど…。日本ハムの場合は、大澤監督自身が「俺と一緒に退団してくれ」って言ったとか。なんか変な話…。

さて、全体を通して懐かしいプロ野球選手の名前が次から次へと登場し、そういう意味でアッシ的はワクワクさせられる楽しい本でした〜。

左腕の誇り―江夏豊自伝 (新潮文庫)
左腕の誇り―江夏豊自伝 (新潮文庫)江夏 豊

新潮社 2010-02-26
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