風景は記憶の順にできていく/椎名誠
『風景は記憶の順にできていく (集英社新書)』を読んだよ。ノスタルジーにも新たな発見。
『小説すばる』に掲載された「風景進化論」をまとめたもので、作家・椎名誠が過去に見たあちこちの風景を再度訪問することでその進化の具合(場合よっては退化だったりするけど)を確認するというもの。そういわゆる旅ルポと言ってもいいかも。
ただ、その旅先は旅行という感じの場所ではなく、浦安とか中野とか、椎名誠が過去に住んでいたとかうろついていたとかいった場所がほとんど。たまに沖縄の海が登場するけど。
で、その一つの神保町で登場するのがビアホール・ランチョン。
一人で神保町に古本あさりにやってきて、この店に入って生ビールを飲みながら、「本日の戦果」として手に入れたばかりの本をパラパラやって気持ちを「ヒヒヒ化」(喜んでいる)させていた遠い日を思い出す。そう、この気持ち、すごくよく分かるんだけど、「ヒヒヒ化」の後ろのカッコ書きの説明が何とも悲しい。昔はこんな解説なんてなかったと思うんだけど。読者が変わったから?あるいは雑誌掲載だからなのか。昔からのシーナファンには不要な解説だよね。
そして、「風景進化論」ながらも変わらない場所も。それが浅草と四万十川。
浅草は子供の頃の思い出の中で変わらずという感じ。四万十川では、
今回の旅の風景は、「変わらない」ということがそれはそれできっぱり「進化」ではないか――と感じたことだった。とシーナ氏。風景が人の心まで変えていくとも言っているよ。
最後は新宿。『本の雑誌』を創刊した頃の話が中心だけど、懐かしい話が続々と出てくる。あの「木原ひろみ」が「群ようこ」だったとか。そう、大昔にシーナ本を読みまくっていたので、そういう意味でアッシ的はシーナさん以上にノスタルジックな気分で読了しました〜。
風景は記憶の順にできていく (集英社新書) | |
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