ハーバード白熱日本史教室/北川智子

ハーバード白熱日本史教室 (新潮新書)』を読んだよ。いわゆる一つのアクティブ・ラーニング。

サンデル教授から始まった白熱授業とか白熱教室の流行。未だに続いているというか、二匹目のドジョウというか。とは言え、その中でも楽しめるものはいろいろあるわけで、今回の教員は、ハーバード大学で日本史のクラスを担当する若い日本人女性・北川智子氏。

その北川先生がハーバード大学で教える「Lady Samurai」と「KYOTO」の授業を中心に、紙上模擬授業を体験するというのが本書の主な内容。

では、「Lady Samurai」とはどのような考え方なのか。
ひとつは、武士道の陰に隠れてきた武士道階級の女性の生き方にスポットライトを当ててみること。もう一つは、サムライとLady Samuraiの両サイドから、日本の武士道の再構築を試みること。つまりは、

女性を女性として扱うのではなく、サムライ文化の一部として捉えることこそが、現代の歴史研究にふわさしい歴史の語り方だと思います。
ということ。男性のサムライで完結する日本史からの脱却なんだよね。でも、それって既に大河ドラマでは実績があるんだけど…。あぁ、学問としての取り組みということか。

もう一つの「KYOTO」は思いっきりアクティブ・ラーニング。京都の地図を書かせたり、ラジオドラマにしたり、最後は映画風のものも。いや、これは苦しいけど思い出に残る授業かも。

そして、授業評価。筆者の授業は高得点を叩き出す。ちょっと自慢風だけど。
で、その秘訣はというと、個人的な秘訣はさておいて、一般論として、まずは「準備」であると言う。

誰かに物事を教える仕事をうまくこなす秘訣の99パーセントは、準備段階にあると思うのです。準備に力を入れずに、出たとこ勝負ではすぐに限界がきます。
と。うん、仕事は段取り!って、まさにそう。これは白熱授業に限らないよね。

最後に筆者の日本史へのアプローチ。

日本史とは何なのか。その全体像について問題提起していくことは、一つ一つの対象物の輪郭線を固めるより、はるかに喫緊の課題だと思います。
と言い、「印象派歴史学」という全体図を大切にするアプローチに収束する。うん、この発想って、元々は数学の人だっただけあるって感じ。全体をごそっとある定理で括るという感覚なのかなぁ〜。

さっと終わらそうと思っていた今回。意外に書いてしまったのは、やっぱり授業方法が気になったからか…。アクティブ・ラーニングはまだまだ学ぶことがありそうです〜。

ハーバード白熱日本史教室 (新潮新書)
ハーバード白熱日本史教室 (新潮新書)北川 智子

新潮社 2012-05-17
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