アホの極み/池田清彦

アホの極み 3.11後、どうする日本! ?』を読んだよ。震災後、日本は変わったのか?

本書は「週刊朝日」に連載されていたエッセイをまとめたもの。連載の期間は、2010年4月から2012年8月までだから、途中に東日本大震災が発生する。そんなわけで、副題は「3.11後、どうする日本!?」。だから、3.11以降はほとんどが震災と原発の話。逆にそれ以前は、池田先生専門の生物系の話が多いよ。アッシは先生の虫捕りの話が好きだけど。

原発事故は、故郷で暮らしたいという思いの人たちの希望を奪った。一番に擁護されなければいけないのは、人々の恣意性の権利だと、池田先生。

私は人の命がこの世で一番大事だ、などとは思っていない。なぜなら、人はいずれすべて死ぬのだから。最も大事なのは、人々の恣意性の権利、別言すれば、最も心楽しく生きたいという権利を擁護することだ。
そう、死ぬことを前提に考えると、今すべきことが見えてくるよね。それなのに、少しでも長く生きることが絶対条件になりがち。どう生きるか(恣意性)が優先されて然るべきなのに。

そして、原発問題とセットにして考えなければいけないのが、地球温暖化。そういえば、ここのところ、地球温暖化なんてすっかり影を潜めているように思うけど、もう誰も関心がないのか?京都議定書が瓦解した今となっては、地球温暖化なんてアホらしくて誰も語らなくなったのかも。地球温暖化は池田先生の得意分野なわけで、先生の代表的な持論を引用する一言と、

だからグローバルに見れば、世界大の最重要な課題は、新エネルギーの開発と人口の抑制なのだ。二酸化炭素炭素の削減など瑣末な問題にかまけている暇はない。
と。新エネルギーは別として、人口抑制はもっと真剣に考えてほしい。身の丈経営って、あるべきだよね。

そして、65歳になった池田先生。いわゆる老人の仲間入りなんだけど、その存在理由を、

未来がない年寄りの存在理由は、未来のことを自己の利害から自由になって語れることだ。若い人は未来があるから世間を気にしないわけにはいかない。
と述べているよ。そう、年をとればとるほど、好きなことを言えるようになってくるように思えるよね。池田先生の表現を借りれば、世間をナメてくるというか。いつのまにか、それができるようになるんだけど。

ホントに言いたいことを言っている池田先生。スッキリ言い切って、読み終わったアッシもスッキリです〜。

アホの極み 3.11後、どうする日本! ?
アホの極み 3.11後、どうする日本! ?池田清彦

朝日新聞出版 2012-09-20
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