首都圏生きもの記/森達也
『首都圏生きもの記 (学研新書 76)』を読んだよ。都会だって生きものだらけ。
だいぶ前から気になっていた一冊。だって、首都圏と生きものって不調和なもの。本当は違うんだけど、人間の頭の中はパターンとして記憶されるから、そういうものだと思ってしまう。だから、逆にタイトルに惹かれてしまったのかもしれないね。アッシが生物好きっていうものあるけれど。
内容はというと、文字通り首都圏に生息する生きものを巡るレポート。首都圏だから、別に都会っていうわけではなく、筆者の住む千葉県と茨城県の境に生息する生きものも登場するけど…。
では、どんな生きものが登場するか?
いきなり、切っても切っても再生するプラナリア。生息っていうか、筆者が飼っているんだけど。
その後は、ノコギリクワガタ、イトミミズと続く。
イトミミズの項では、
世界は複雑だ。そして、厖大だ。あらゆる要素がある。でもそのすべてを知るためには、人の一生はあまりに短か過ぎる。何を知って何を素通りするか、それはあなたが(自覚的にせよ無自覚にせよ)決めている。
言い換えればこの世界は、あなたの思うがままなのだ。
と筆者。イトミミズの生態を知らなくても生きていけるということだよね。アッシ的には、なんだかそれも寂しいけど…。
続いて、カラスの話題。うん、カラスは首都圏というより、まさに都心の生きものと言ってもいいかも。アッシ的には、ゴミを漁るイメージしかないし。で、筆者はどう言うか。
確かに傍で見ると、カラスの目には表情がある。常々思っているのだけど、全般的に(すべてではない)ハトやニワトリの目は、何となくメカニカルというか情緒が感じられない。一口にすれば爬虫類的(鳥と爬虫類はかなり近い)。カラスはその意味では、何となく哺乳類的な雰囲気がある。情緒の領域が近いような気がする。うん、鋭い観察力。ここまで鳥の目をじっくり観察することは普通無いんだけど…。
その他にも様々な生きものが登場。ハリガネムシ、ナナフシ、アシナガバチ、セミなどの昆虫から、ヒキガエル、ヤモリ。哺乳類もイヌやドブネズミなど。
最後に筆者曰く、
いずれにせよ生きものたちの生態は、大きな意図が働いているのだろうかと思いたくなるほどに、知性的で暗示に満ちている。そしてもし大きな意図が働いているのだとしたら、ふざけているのだろうかと思いたくなるほどに非合理で不可解だ。と。でも、だからこそ飽きないのだとも。そう、生きものは面白い。生きているということ自体が不可解だし、その前提で自分の生が成り立っているなんて、信じられません〜。
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