遺伝子はダメなあなたを愛してる/福岡伸一

遺伝子はダメなあなたを愛してる』を読んだよ。生物学的にも、自由であれ。

ご存知、生物学者・福岡先生の本。週刊AERAの連載コラムをまとめたもの。普段の生活で感じるささやかな疑問を福岡先生にぶつけてみたら…というコンセプトということで、その回答がいかにも生物学者らしく、逆にいうと期待通りで、アッシ的には嬉しい感じ。

編集のコンセプトは前述の通りなんだけど、執筆のコンセプトは福岡先生流。ドリトル先生を登場させ、フェアネス、偽善無しの視点で世界を考えたいと言う。そして、

ドリトル先生から学ぶべきことのひとつは、知的であることの最低条件は自己懐疑である、という事実です(ですから、おのれの無謬性を信奉する官僚たちは知的ではありません)。
とバチリと一発。では、その視点から、どんな回答があるのか。

生命の情報伝達物質は情報を伝えるとすぐに消えてしまうという話。なぜ、消えることが大切なのか?

それは生命にとってはその変化そのものが情報なのであり、変化の幅(差分)こそが、次の反応を引き起こす手がかりとなりうるものだからです。そう考えてみるとなぜ私たちが今日、いわゆる「情報」に振り回されてしまうのかがわかります。ネットやメールの言葉はいつまでも消えません。トゲとなってずっと残ります。
生命にとって、時間を逆流することがないんだよね。だから、情報を残す必要もないし、残しても意味がないんだよね。ここで登場する時間の概念も生物にとっては重要なもの。別の項では、
私たちに第一に必要なのは謙虚さと時間に対するリスペクトなのです。
とか、
時間にはロマンがあります。
とか。生命には38億年という悠久の時間があるからね。

もう一つは、地球外生命体の見解。
リンの代わりにヒ素を使った生命体が地球上で発見されたニュースを受けての話で、福岡先生の想像する宇宙人とは、地球生物の延長線上にあるのではなく、まったく異なって仕組みのものであるといい。

つまり、たとえ遭遇しても、すぐにはそれが生命体とは認識できない何者かとして私たちの前に立ち現われるのです。
と。これもひとつのロマン。そう、そこの鉛筆が地球外生命体だったりして…。
遺伝子はダメなあなたを愛してる
遺伝子はダメなあなたを愛してる福岡伸一

朝日新聞出版 2012-03-30
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