対決!大学の教育力/友野伸一郎

対決! 大学の教育力 (朝日新書)』を読んだよ。あまりにもタイムリー。

大学選びの新たな指標として、教養教育と初年次教育を取り上げ、真の大学の教育力はこの二つに表れていることを指摘しているよ。そう、今までの大学の教育力って、どうしても専門科目に偏っていたり、研究成果だったりで、どうしても教養教育や初年次教育は軽視されていたよね。でも、もうそれは時代が違うわけ。
ユニバーサル・アクセス型の大学になれば多様な学生が入学してくるわけで、一律の教育では成果が出にくくなるよね。そして、社会が大学に求めるものも変化してきているよね。それが「社会人基礎力」。この力を付けて卒業させることが大学の使命になってきているわけで、決して高い専門性だけを求めているわけではない。
ところが、それに気がついている大学は多くないよ。いや、気がついているけれども、改革に手がつけられないのかもしれないね。

前段の話が長くなってしまったけど、本書は前述の二つの教育力について、大学として取り組んだたくさんの事例を紹介しているよ。
で、それらの事例を見る前に頭に入れておかなければいけないことが幾つかあるよ。その一つが「フンボルト理念」に基づく教員の研究志向。まずは研究ありきという考え方だよね。近年においては、この理念を残している大学は少なくなりつつあるようだけれども、有名どころでは京都大学はまだこの傾向が強いとか…。その志向がそのまま教養教育のカリキュラムにも表れているよ。対して、教育課程の大綱化でも教養課程を残した東京大学。それは、各大学の考え方の問題なんだけど、本書のスタンスとしては東京大学に軍配。

それにしても、各大学の取り組みを見ていくと、悩みどころのポイントは共通しているような。教員の意識をどう変えていくか…なんだよね。

最後に引用。

学生のことを誇りに思っている大学というのは、実際に優れた教養教育や初年次教育を行っているだけでなく、学生のことを「こう変えていきたい」というビジョンと手法を持っている大学ということになります。
うん、大学の教育力ってこういうイメージなんだよね。そう、アッシ的には、静岡産業大学の学長の講演で聞いた「学生が化ける」という話のイメージと同じだよね。

最近、アッシが集中的に考えていることとマッチして、非常にタイムリーな1冊でした〜。

対決! 大学の教育力 (朝日新書)
対決! 大学の教育力 (朝日新書)友野 伸一郎

朝日新聞出版 2010-03-12
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