街場の現代思想/内田樹

街場の現代思想 (文春文庫)』を読んだよ。内田先生的人生相談。

いつものように、内田先生が自分自身のブログや雑誌に連載で書いたものをまとめたものだよ。新潮新書『日本辺境論』が売れているので、図書館でも内田先生の本は入手し難くなっている感じ。だから、在庫を発見した時はすぐに借りないと次の入手はいつになるか…といった感じ。

さて、本書。
前半は内田先生の考える「文化資本」を現代風に分析する。この「文化資本」。ひらたく言うと教養なんだけど。文化資本にも二種類あって、家庭環境などで知らない間に身についてしまったものと、学校などで後天的に身につけるものがあると内田先生は分析しているよ。さらに、後者の文化資本はどんなに頑張っても前者の文化資本にはなり得ないとも。
そう、これはもう格差の問題。そういう時代になったのだと思っていたら、そこに「負け犬」と呼ばれる階層が出現する。それにしても、内田先生が酒井順子を読んでいるとは…。あっ、そうか。内田先生、女子大の教員だったね。女性の生き方に多少は関わるお仕事だからね。
そうそう、その「負け犬」階層が、前者の文化資本を獲得しつつあるのではないかという考察。詳しくは本書に譲るけど、最後に、

だから「勝ち犬シフト」の諸君も、「勝ちとか負けとか、そもそも私は『犬』になんかなりたくない。私は『人間』になりたい!」という諸君も、すべからく本学に結集されんことを訴えて、ご挨拶に代えたいと思います。
には、ガクッ。神戸女学院大学は負け犬対策の超先進校だとか…。

後半は人生相談。
いろいろな内容に丁寧に答える内田先生。「丁寧に」というところがミソ。内田先生の話はその理路が丁寧なんだよね。数学の問題を解くように話が進む感覚。アッシが内田先生の本を読むのはその感覚が味わえるからなのではないかと思えてきた。
多分、この感覚が忘れられずにこれからも内田先生を読み続けると思います〜。

街場の現代思想 (文春文庫)
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