プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか/P.F.ドラッカー

プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))』を読んだよ。精神の緊張を伴うけど、脳が喜ぶ読書。

ドラッカー、2冊目。訳者あとがきにあるように、ドラッカーのこれまでの著作の中から、エッセンスを抽出してドラッカー自らが編集し直したもの。だから、『ドラッカー名著集1 経営者の条件』と重複する内容がかなりあったよ。それでも、何度読み返しても感じ入るものがあるのがドラッカー。こういうエッセンス本もいいかも。但し、「はじめて読むドラッカー(自己実現編)」という副題が付いているけど、決して入門編ではないことに注意。そんな訳で、過去にドラッカーを読んだことがあって、もう一度ドラッカーの著作全体を読み直したいという人にはお薦めかも。

本書全体を通して出てくる言葉は、「ポスト資本主義社会」。資本主義というと、文字通り施設設備や工学の発達を基盤とするモノ的なイメージだよね。でも、これからの社会は、ポスト資本主義社会だとドラッカー

深刻な問題は、この100年間における生産性の爆発的な向上をもたらし、先進国経済を生み出したものが仕事への知識の適用だったという事実を、ほとんどの者が認識していないところにある。
そう、モノ的な投資ではなく、知識の仕事への適用。これがこれからの社会を支えると。
知識が単なるいくつかの資源のうちの一つではなく、資源の中核になったという事実によって、われわれの社会はポスト資本主義社会となる。この事実は、社会の構造を根本から変える。新しい社会の力学を生みだし、新しい経済の力学を生む。そして新しい政治を生む。
これがドラッカーのいう「ポスト資本主義社会」。そして、新たな資源は、知識労働者となるわけ。うん、分かりやすいし、イメージが湧くよね。

その新たな資源たる知識労働者の生産性はどうだろう。肉体労働者ならば、一日に何個の製品を仕上げるという数値でその生産性が評価できる。知識労働者にはそれが難しい。しかし、生産性を向上させることはできる。それは「仕事を定義し直すことである。」とドラッカー。「何が目的か。何を実現しようとしているか。なぜそれを行うのか」を問うことだとも。うん、これも分かりやすい。一昔前、某研究会で、事務の生産性の向上をテーマにグループウェアなんぞを調べたことがあったけど、やっぱりツールより原理なんだよね。

さらに、ポスト資本主義社会について、「知識社会」であるとともに同時に、「組織社会」であるとも言っているよ。

この二つの社会は、相互依存の関係にありながら、概念、世界観、価値観を異にする。教育ある人間の大部分が、すでに述べたように、「組織」の一員として自らの「知識」を適用する。したがって教育ある人間は、二つの文化、すなわち一方は、言葉や思想に焦点を合わせた知識人の文化と、一方は、人間と仕事に焦点を合わせた組織人の文化の中で生き、働く。
これ、アッシの職場にすっかり適用する。
さらに、「両者は対照的である。対立的ではない。対極にある。たがいがたがいを必要とする。」とも。あ〜、ますますアッシの職場…。
知識人の世界は、組織人による均衡がなければ「好きなことをする」だけとなり、意味あることは何もしない世界になる。組織人の世界も、知識人による均衡がなければ、形式主義に陥り、組織人間が支配する無気力な灰色の世界に堕する。両者が均衡して初めて、創造と秩序、自己実現と課題達成が可能となる。
といい、両方の文化で働く経験をもつことの必要性も説いているよ。ドラッカーはポスト資本主義の一般論を言っているのだろうけれども、アッシにはうちの職場を言われているようにしか聞こえない…。

ドラッカーさん、うちの職場に来て、講演でもしてもらいたい。それが無理な話であるのは重々承知。となると、アッシ自身でこれを実践していくしかないんだろうなぁ〜。

プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))
プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか (はじめて読むドラッカー (自己実現編))
ダイヤモンド社 2000-07
売り上げランキング : 237

おすすめ平均 star
star知的な興奮を感じる一冊
star難解なドラッカーを克服!(恥を承知で書きます)
star就職・転職活動中の人にオススメ

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

応援クリックはこちら→にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ