沈黙の春/レイチェル・カーソン

沈黙の春』を読んだよ。農薬ってアッシの生まれる前から問題になっていたんだ…。

記憶は不確かなんだけど、確か『リンゴが教えてくれたこと』の中にこの本のことが書いてあってメモっていたのだけれども、400ページ近いので、長い休みを狙って年末から読み始めてようやく読了。訳もそれほど難しくはなかったんだけど、アッシ的には時間が掛かったことは確か。

原著は1962年の出版だから、アッシが生まれた頃。話の中身は1950年代の後半、アメリカ合衆国を中心に農業や林業に被害をもたらす害虫を防除するために散布した化学薬品がいかに無意味で且つ逆効果であるかを詳細に述べたもの。

害虫防除に散布された薬品の代表が、DDT。これは有名。アッシらの両親は戦後、シラミ退治として、髪の毛が真っ白になるほど掛けられたと聞いている。
人間に害はないと言われていたらしいけど、直接の被害は無かったとしても体内への蓄積はあったのではないか…。また、農薬が農作物に残留物質として蓄積されれば、それを食物として体内に吸収する人間はどうなるのか。そんなことも考えさせられる話も書かれている。

そして、土壌への影響。河川、湖沼、海への影響。地球そのものが生き物であることを考えると、何が安全かなんて、有り得ないことは分かりきっているのに…。
でも、それは今の時代に生きるアッシだから分かることなのかも。当時の人たちには、害虫を一網打尽にする農薬は妙薬であったのだよね。

土や水への影響があるということは、害虫以外の虫や鳥、動物への影響も避けられない。勿論、植物も。
たとえ、害虫が防除できたとしても、それ以外の益虫までも死滅させてしまえば、何の効果もないことになるわけ。さらに悪いことに、農薬に抵抗性のある一部の種が生き残れば、その種が繁栄することになり、さらに強力な農薬が必要になってくる。

そして、癌。放射能以外にも発癌物質として、化学薬品も考えられる。筆者は、癌の治療よりも、発癌性因子を除去することが重要であると説く。それはつまりは、化学薬品の使用を抑えることであると。

では、この薬品漬けの世界をどうすればよいのか。筆者は自然の均衡を利用する方法を推奨する。天敵(捕食者)を利用する方法など。
但し、これも当時は実験段階だったのだと思う。

話が古いことが気になるし、天敵を利用する方法でも、それ自体自然の均衡を乱す行為なのではないかと疑問が残る。(これについては、本書の「解説」が参考になるよ)
それでも、あの当時、これらのことに気が付いて、これだけの著作を残した筆者には頭が下がる思いがするよ。
環境問題。誰でもが分かっているようで、分かっていないような。まずは原点として、この本を読んでみることもよいのではないかと思う。
今年もアッシ的には環境問題から目が離せないかもしれません〜。

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