零の発見―数学の生い立ち/吉田洋一

『零の発見―数学の生い立ち』を読んだよ。筆算なんて、もう何年もしていないなぁ〜。

学生時代に読んだことがあるから、実は再読。友人も読んでいて、本書に紹介されている南アフリカブッシュマンの数詞が1と2しかなく、それ以上を「たくさん」と表現しているという話から、「いっこ、にこ、たくさん」がちょっとした流行語になったこともあったっけ。

本書は二部構成。
前半は「零の発見」と題し、位取り記数法の話をベースにアラビア数字の由来、特にインドで発見された零がどのようにヨーロッパに入ってきて、数学に貢献してきたかを解説しているよ。

その位取り記数法。まずはソロバンとの対比で説明しているよ。原理としては同じものだから。
で、位取り記数法で紙の上にあらゆる数を書きあらわそうとすると、どうしても0という数字が必要になってくるわけ。
この0を書く位は、とりもなおさず、ソロバンでいえば球を動かさずに下ろしたままにしておく桁に当たるわけで、何かこういう空位をあらわす記号なしには位取り記数法が成り立たないことは、いま見たところから明らかであろう。
となり、0こそは実にインド記数法の核心であると筆者。

そして、インド記数法の長所。10個の数字だけで膨大な数が取り扱えること。これは現代文明の発展に欠かせない。そして、数の大小が一目で判定できること。さらにアッシが感動したのは、筆算が容易なこと。あまりに当たり前で忘れがちだけど、確かにそう。漢数字で筆算は無理だぁ〜。

第二部は「直線を切る」。一般には馴染みがない言葉かもしれないけど、数学好きならピンとくるかも。
まずはピュタゴラスを登場させ、有名なピュタゴラスの定理(三平方の定理)を説明する。「平方」なわけだから、そこでルートとが登場し、有理数から無理数の世界に数字の概念が広がる。
さらには、デデキントの切断問題。連続という概念を厳密に定義する。そこには無限の考え方も。
本書の最後で筆者曰く、

デデキントの与えた連続の定義が連続の本質をつくしていると考えるのは早計に過ぎるであろう。ゼノンのまきおこした問題は今にいたるも謎であって、デデキントの数学的連続の概念によってこれを解明しえようとはどうしても思われない。よく考えてみれば、こういう問題を考究することは、あるいは、哲学の領分であって、数学本来の職掌外であるかも知れない、という気もするのである。
と。アッシ的には数学の領分であってほしいなぁ〜。
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