線路を楽しむ鉄道学

『線路を楽しむ鉄道学』を読んだよ。筆者曰く、一介の「鉄道好きの地図マニア」が書いたもの。

冒頭にも書いたけど、いわゆるテツが書いたものではないところが本書のポイント。テツの方の本はどちらかというと車両とか時刻表とか、運行とかに目が行きがち。本書のポイントは線路。だから、勾配、曲線とか隧道とか線路をどこに引くかとか。うん、地図も好き、鉄道にも興味があるアッシ好みの話題。

まずは軌間の話。東京でいうと京王線とそれに相互乗り入れする都営新宿線が特殊な軌間。以前から不思議だったけど、結局馬車軌道の名残という歴史的な経緯が原因だとか。ふむふむ。

そして勾配。鉄道は坂道に弱い。急勾配が苦手。これも歴史的には蒸気機関車の力不足というのが元々の原因なんだけど、これによって、線路の引き方に影響が出るわけ。ループを使ったり、スイッチバックを使ったり、遠回りをしたり。
その遠回りの例として、中央東線の塩山付近と辰野付近が上げられているよ。「我田引鉄」といって、地元の有力代議士が地元に線路を持ってくるために力ずくでルートを捻じ曲げたのでは?との伝説があるけど、本来は勾配を配慮してのルートだったのではと筆者。そう、甲府盆地へ降りる扇状地はかなりの急勾配だということは、中央高速を車で走ると分かるよね。

鉄道は急カーブも苦手。東北・上越新幹線などは大都市の駅付近を除き4000m(カーブの半径、以下同様)以上で設定されているとか。アッシが気になるJR飯田橋駅のカーブ。電車に乗るときに分かるけど、電車とホームの間が広く開いているよね。これでも300mだとかで、JR飯田線切石駅のホームは160mの曲線上だとか。列車に乗れるのか…。

その他、ユニークな線路の引き方が様々紹介されているよ。どうしてそういうルートになっているかを突き詰めていくと、過去の経緯というパターンが多いみたい。結局、線路を引くとは莫大な資本投資が必要なわけで、なるべく過去の遺産を利用することで建設していったのだよね。
と言うわけで、アッシの乗っている西武線にも過去の経緯があるようで、拝島線の複雑なルートの意味が分かりました〜。

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