クラウド・コンピューティング

クラウド・コンピューティング』を読んだよ。クラウドは単なるIT最新事情…。

去年の秋頃だったか、職場の会議で「これからは、クラウドだ。」と言い放つ輩がいて、一瞬だけたじろいだけれども、「クラウド」という言葉は何となく聞いていたので、知った振りをして、受け流したことがあった。
要はGmailみたいなものだろと思っていたけど、Gmailだけでなくて、GoogleAppsみたいに、ブラウザがOSのように振舞って、ローカルでアプリが不要な環境が「クラウド」ということでアッシ自身はその当時理解していた訳。
で、本書が今年早々にに出たときは、まぁ機会があったら読んでみようという程度で図書館で調べたら、予約数多数。いつ読めるのか怪しい状態だったので、予約して、漸く読了。

で、本書の内容。

冒頭は昨今のIT事情。特にアプリケーションの「サービス化」がキーワード。アプリはソフトではなく、サービスとして展開されてきている点に注目。その基盤が、ウェブアプリっていう訳で、まさに「クラウド」への第一歩。

続いて、iPhoneを中心とした携帯電話事情。携帯とかPCとかの機器のボーダーレス化は「クラウド」を推し進める。Googleが携帯向けOSを開発していたというのは初耳。携帯電話の台数はPCのそれとは比べ物にならないことに着目しての進出だとか。さすがに、目のつけどころが違うというか…。

そして、「クラウド」。やっぱりGmailがその代表。そして、データをネットの向こう側に置くメリットとして、筆者は「より簡単にPCを使えるようになること」だと言う。

パソコンにおけるトラブルの多くは、重要なデータと、パソコンが動くために必要な「システム」が同居している、ということにある。データをオンラインに置くということは、ファイルの消失や行方不明といったトラブルから人々を解放し、使い方をよりシンプルにする効果を持っている。
これは、昨今のオンライン・ストレージサービスの隆盛に繋がっているわけ。アッシ的には、このようなサービスが出た頃は、バックアップとして利用する意味合いが強かったけど、最近はどこでも取り出せるからという理由で使っているかも。

では、「クラウド」とは何か。技術的には今までも似たようなサービスはあったわけ。だから、クラウドとは、「技術」ではなく「現象」だと。そう、口の悪い人に言わせると「パソコン以前への先祖返りだ。」とも。

そして、最後に登場するキーワードが、「ユビキタス」。ユビキタスとはクラウドの結果だという。確かに「ネットワークの外部化」という意味では同じかも。ただ、坂村先生のユビキタスの概念の方が範囲が広いよね。「クラウド」はPCと携帯という端末しか想定していないし。

IT業界は言葉に翻弄され気味。以前からあるものを、ちょっとだけ概念を変えて目新しく見せる。踊らされて飛びつく方にも問題はあるけれど。

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