寝ながら学べる構造主義

『寝ながら学べる構造主義』を読んだよ。引き続き内田樹

前回の『知に働けば蔵が建つ』は、多少の精神の緊張が必要な本だったけど、どちらかと言うと「寝ながら学べる」感じ。で、もう少し精神の緊張が必要な内田樹氏の著作を探していて、目に付いたのが本書。タイトルが大胆だけど、中身は結構真面目。さすがに「寝ながら学べる」というのは大げさな気がするけど。

さて、本書はまず、「構造主義とは何か」に先立ち、その歴史的経緯を紹介する。ところが、本文の中でいきなり「構造主義」が説明されているよ。それは、「世界の見え方は、視点が違えば違う。」ということ。だから、人間は自分が思っているほど主体的にものを見ているわけではなく、むしろ選択的に見せられているのだと。
よく考えてみれば、当たり前のように思えるけど、そう考えられるようになったのは、40年ほど前の1960年代からだとか。人類的にはつい最近だというのも驚くけど、その考え方自身がなんだか唯脳論的だよね。いや、唯脳論構造主義的なのか。

さらに、主体の考え方。「主体性の起源は、主体の「存在」にではなく、主体の「行動」のうちにある。」ということが構造主義の根本にあり、すべての構造主義者に共有されている考え方だとか。ちょっと表現を変えても説明。

ネットワークの中心に主権的・自己決定的な主体がいて、それがおのれの意思に基づいて全体を統御しているのではなく、ネットワークの「効果」として、さまざまのリンクの結び目として、主体が「何ものであるか」は決定される、というこの考え方は、「脱−中心化」あるいは「非−中枢化」とも呼ばれます。
まさに、「天動説」的な人間観から、「地動説」的な人間観への移行だよね。

と、ここまでが、構造主義前史が書かれた第1章。ここまで、マルクスフロイトニーチェと登場して、既に人類の叡智が集結した感じ。
その後に続くのが言語学ソシュール。で、最語に四銃士が登場。フーコー、バルト、レヴィ=ストロースラカン。それぞれの主張はそれなりに面白いけど、どうも最初の構造主義の説明と結びつかない感じ。それぞれの関連がアッシには意味不明でした。お手軽に読めた割りに、そこが残念だったかなぁ〜。

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