超バカの壁

『超バカの壁』を読んだよ。養老先生の壁シリーズ3部作の最後。

シリーズ前作の2作とも、読みやすくて養老先生入門としてはお勧め。特に第1作『バカの壁』はよいよ。第2作『死の壁』はちょっとだけ科学的な要素を含んでいてアッシ好み。そんなわけで本書も期待できそうな予感で読み始める。

「まえがき」に書いてある通り、人生相談の回答を綴った風で今回はまとめたということ。その通り、新聞や雑誌の人生相談を読んでいる感じがするよ。でも、養老先生らしく、その回答はニヒルだけど。

例えば、自分に合った仕事を探しているという若者に対して、そんな仕事なんてあるわけがないと一蹴。

仕事というのは、社会に空いた穴です。<中略>自分に合った穴なんて空いているはずだなんて、ふざけたことを考えるんじゃない、と言いたくなります。
だから、仕事は自分に合っていなくて当たり前。そう、やりたいことだけやって済む仕事なんて有り得ないよね。

テロの問題でも、新たな視点。テロ行為は極めて人間的な行為であると。
人間以外の生物は、危ないと分かっていることは絶対にしないのに、人間だけはそういう動物的感覚を無視した行為を行うよね。つまり、倫理とは個人の問題だということ。養老先生に言わせると恋愛もテロと同じようで…。

何度も出てくるのが「一元的」という単語。子供の問題(少子化など)でも、

テロの問題と同様に、多くの人が物事を一元的に考えなくなってくれば、自然に解決に向かうはずです。それが本当の解決でしょう。
と言い、現象のひとつひとつが問題なのではなく、人々の考え方の方に問題があると指摘しているよ。

システムの問題の章では、活字離れと言われていることに疑問を呈す。日本語は同音異義語があるので、読むこと(活字)が中心の言語であるとも言っているよ。

そして、また「一元的」の話。カオス理論とかフラクタル理論は何を意味しているか?それは、

世間の人は科学的な結論というのは一義的に定まっていて、正しい答えがあるとどこかで信じている。それは既に時代遅れだよということを優秀な科学者はすでに言っていたのです。
と。要は、一元的にものを見たり考えたりするなよ…ということなんだよね。
養老先生的には「ああすればこうなる」的な理論ではダメだということ。肝に銘じます〜。
超バカの壁 (新潮新書 (149))
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