齋藤孝のざっくり!日本史

齋藤孝のざっくり!日本史』を読んだよ。ホントにざっくりだけど、切り口を変えると歴史も楽しめるね。

齋藤先生の日本史解説本。とは言っても、齋藤先生の解説だから、ちょっと捻りを加えるわけ。日本人は日本史について、知識はあるけど意味が分かっていないという点をどうしたら克服できるかという観点から、その意味が分かるように解説した本。
で、その意味を分かるようになるためには、文脈を捉えることだと齋藤先生。だから、ひとつの歴史的な事件がその後にどのような影響を及ぼしていったのかが分かってくると断然歴史が面白くなるって云うわけ。

では、本書の中から幾つかの事例を。

まずは「廃藩置県」と明治維新。藩が無くなるということは武士にとっては失業と同じ。ましてやお殿様にとっても重大事。それでも、全国の大名は黙って新政府に従ったのは何故か?いろいろと背景はあるんだろうけど、まずは薩摩と長州が前例を作ったことが大きいのだと。

日本人というのは、前例ができると、またその前例が大きいものであればあるほど、一気にそちらの方向に傾き、倒れていくという傾向があります。
齋藤先生は、これを「将棋倒し国民」と表現しているよ。

そして、「大化の改新」と藤原氏について。
大化の改新」は1300年以上も前のテロ事件。それが、権力と権威、実と名を分けるという日本特有の感覚は、この事件に端を発するものだとか。
藤原氏は「権威としての天皇制」というものをこの事件で作り上げ、日本の統治機構を安定させていったのはまぎれもない事実。権力と権威が分かれることはメリットもあるけど、デメリットも。例えば、現代でいえば、企業などで不正が発覚したときの上司と部下との責任のなすり合いなど。日本人的な曖昧さの根源はここにあるという人もいるとか。

「仏教伝来」と日本人の精神についても。
日本人は仏も神もいっしょくた。本来、仏さまにはご利益と考え方はないのだけれども、勝手に解釈して鎮護国家という考え方を作ってしまった日本人。国全体で、ご利益を願ってはいけない相手にご利益を与える役目を押し付けたのだと。その典型例が大仏さま。ただ、その考え方があったからこそ、仏教がこれだけ日本に広まったのだとも。ここにも日本人の緩さというか曖昧さが出ているよね。

最後に、「殖産興業」と日本的資本主義について。
明治維新では、欧米のシステムそのものをまるごと輸入している。その根底には、日本人の「素直さ」があると。
齋藤先生的には、

素直というか、実も蓋もないと言うか、「そこに誇りはないのか」と聞きたくなるほど、丸ごとそのままの形で持ってきているのです。
と。

アッシ的には、日本史を学ぶということは、日本人とは何かを追求することなんだなぁ〜と改めて思いました〜。

齋藤孝のざっくり日本史
齋藤孝のざっくり日本史齋藤 孝

祥伝社 2007-11-30
売り上げランキング : 11899

おすすめ平均 star
star頼むから放っておいて
star歴史をもう一度勉強したい大人にうってつけ!
star面白い

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

応援クリックはこちら→にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ