茂木健一郎科学のクオリア

茂木健一郎科学のクオリア』を読んだよ。茂木健一郎版「爆問学問」のよう。

脳科学者・茂木健一郎氏が日本の科学者たちと対談する本。何故か作家もいるけど。対談する科学者は、立命館大北岡明佳氏、青山学院大福岡伸一氏、東京大・西成活裕氏、京都大・遠藤秀紀氏、広島大・長沼毅氏など、以前にNHKの「爆問学問」に登場した先生方が全体の半数ほど。「爆問学問」は欠かさず見ているから、懐かしいような、さらなる話が聞けそうで楽しみなような。
爆笑問題のようなアヤシイ突っ込みはないだろうけど。

さて、対談での会話で面白いと思ったところを幾つか紹介。

いきなり作家だけど、小川洋子氏。当然『博士が愛した数式』の話題から。そこで、数学と小説の共通点について、語り合う。両者ともぼんやりしたイメージがあって、それを具体化していく作業だと。最終的にはどの要素が欠けても成立しないものを作り上げていくと。
雑誌「Newton」の最新号(2008年12月号)でも特集している虚数について、小川氏。

数学の世界に虚数が現れたときに、みんながすごい戸惑ったんだけれども、でも虚数の存在をみんなが受け入れていく。あの過程は面白いですね。ゼロもそうですね。ないものを受け入れて、そこに矛盾が生じないということが不思議です。
そう、虚数の存在は確かに不思議だけれど、受け入れてみるとそこには美しい世界が広がっている。あ〜、魅惑の虚数…。

福岡伸一氏との対談。そのあとがきで、茂木氏は昨今の日本人は「わかりやすさ」の病に罹っているように見えるという。すべては仮説に過ぎないのにそれが絶対的な真理のように語られることが多いし。その中で、アインシュタインに対する次の言葉。

ニュートン力学は絶対的なもののように思われていたが、アインシュタインという一人の若き革命家によって書き換えられた。その適用限界を知ることも科学の大切な一側面だとすれば、ニュートン力学を本当の意味で理解した最初の人はアインシュタインだったといってもよい。
なるほど、そうか。それ以前の人たちは、適用限界すら見えていなかったのだからね。

最後は観測的宇宙論の須藤靖氏。須藤氏のあとがきがすっきりしていて分かりやすいよ。人間原理という考え方。要は宇宙は一つではなくたくさんあるのだと。その中で生命を生み出す特別な条件をたまたま満たす「宇宙」だけに人間が存在するのだと。だから、人間が存在しない宇宙の方が自然なのだと。
面白いよね。多宇宙という考え方は初めて聞いたよ。そう考えるか〜て感じ。

やっぱり科学は楽しい。夢があるよね。ワクワク感というか。アッシのこのブログも「40自然科学」カテゴリがダントツ1位だよね。

茂木健一郎科学のクオリア (日経ビジネス人文庫 グリーン も 4-1)
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