ウェブ社会をどう生きるか
『ウェブ社会をどう生きるか』を読んだよ。学問的にウェブ社会を見ると…。
まずは、情報とは小包のような実体ではないという筆者の考えに衝撃を受ける。だって、ネットワーク的にはパケットとか言って、まさに小包を届ける風だから。
でも、基礎情報学的には違うらしいよ。いわゆる関係性によってもたらされるものが情報だと。
そして、さっきの小包的な情報は、機械情報という狭義の情報として定義される。なるほどと言いながらも、理解し難い。
さらに、機械情報に支配された世界にストップをかける必要があると。
機械情報中心に生じている情報学的転回にストップをかけ、生命情報中心の情報学的転回に反転させることです。そういう文脈のなかでウェブがいかなる役割を果たせるのか、考えていく必要があるのです。ウェブの集合知という考え方にも疑問を呈する。梅田望夫氏の『ウェブ人間論』での発言にも批判的。要は単なる機械情報では責任の所在が云々ということらしい。あと、グーグルの検索意図にも疑問を投げかける。
グーグル信仰に止めの一発はこの言葉。
あらゆる情報や知識を網羅的・一元的に集め、それを体系化してコンピュータにより検索できるようにする、といった一神教的な野心は捨てたほうが賢い、ということです。これはまさにグーグルの目指すところ。だから、完全否定。機械情報からは、生命情報たる「知恵」は生まれないという考え方だ。
う〜む。ビジネス的な側面のウェブばかり考えられてきてけれども、学問的にはかなり見解が違うよね。
今まで、梅田望夫氏の著書をかなり読んできたアッシには衝撃的な一冊でした〜。
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