数学でつまずくのはなぜか

『数学でつまずくのはなぜか』を読んだよ。タイトルだけだと教育論かと思いきや、そうではなくてあくまで数学本。

タイトルの通り、数学でつまずく原因とその対応策を考える。特に中学で算数から数学に変わると分からなくなる。それが単に中学教育が悪いとかそんな浅はかな結論を筆者は言わない。その解決方法にさえ、数学の別の手法を使っているよ。そこがユニークなところ。
そして、前書きには、いきなり

あなたが数学でつまずくのは、数学があなたの中にすであるからだ。
というパラドキシカルな言葉。これは本文中のアフォーダンスという概念に繋がっていく。

カテゴリ毎にいろいろな話題を題材に話は進む。幾何では、ユークリッドの公理系が主な話題。ユークリッド幾何学は、平面状では通用するけど、球面上では成り立たない。ということは、宇宙空間にまっすぐ引いた直線も成り立たないのかも。そこから導かれる結論は、

わたしたちの宇宙は、わたしたちには想像できないようなねじ曲がり方をしていることになる
かも…と。

自然数の話題では、ホワイトヘッドという数学者の言葉を紹介しているよ。

「魚が七匹いる、という7と、一週間が七日ある、という7が同じものだと認識した人間は大変な発見をしたのだ」
この言葉は自然数の難解さを象徴しているような。その難解さとは定義そのもの。自然数の定義なんて…と思うかもしれないけど、数学的な厳密な定義は非常に難しいよ。最後は集合論まで駆使しているから。自明なことを定義する難しさ。まさに自然数の定義はそれを思い知らされた話題でした〜。
数学でつまずくのはなぜか (講談社現代新書 (1925))
数学でつまずくのはなぜか (講談社現代新書 (1925))小島 寛之

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