思考の補助線

『思考の補助線』を読んだよ。茂木さんの中でも比較的難し本かも。

「思考の補助線」という言葉を聞いた時に思い出したのが、『フェルマーの最終定理』に書かれていた「谷山・志村予想」のこと。何の関係性もないように思える事象が、ひとつに結ばれる。その結ぶ線を「思考の補助線」と想像してみたわけ。

本書の底流にあるものは「知の世界全体を引き受ける」というテーゼ。例えば、ニュートンアインシュタインは物理学という手法において、「知の世界全体を引き受け」ようとしたわけなんだけど、一見そのように見える世界は実は違っていて、部分問題しか扱えていなかったというのは事実だと思う。

意識と普遍の問題もテーマに。

意識とは、個別が普遍に接続する形式のことである。<中略>人間は、個々の生という個別を生きていると同時に、時空間的な限定を受けない普遍をも生きている。
と、筆者。これはまさに不思議な感覚。固体としては制約だらけなのに、脳の中は普遍なんだよね。無限のことも考えられるし、自由がそこにあるという感じ。それを「仮想」というわけだよね。

無限という概念の話も。
実無限を人間は引き受けることはできない。我々の考えられるのは可能無限までだと。それでも無限を考えられる脳は凄いと思う。それこそ、仮想の世界の無限性がそこにあるんだろうね。

それにしても、「知の世界全体を引き受ける」統一理論を誰か発見してくれないかなぁ〜。おっと、これは自分自身が考えることを止めることに繋がるか…。
アッシも人間として考えることを止めてはいけないと思う。本書的にいうと、考えることで快感を得られる脳でありたいと思う。

思考の補助線 (ちくま新書 707)
思考の補助線 (ちくま新書 707)茂木 健一郎

筑摩書房 2008-02
売り上げランキング : 72326

おすすめ平均 star
star頭の良い人のぼやきと不満。
star荒々しくリアルな思考の過程
star「世界を引き受ける」心意気

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

応援クリックはこちら→にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ