「日本人」という病

『「日本人」という病』を読んだよ。河合隼雄の日本人論。

河合隼雄の幾つかの講演記録を一冊にまとめたものだよ。

「震災後の復興体験」では、震災直後に暴動や略奪が起きなかったのは何故か?などをテーマに日本人の考え方がよく分かるよ。日本人はそれが当たり前だと思っているから、そういう疑問すら起きないけど、外国から見るとそれが最も不思議らしいよ。

「個性」の話。欧米人は「分ける」という考え方。これは人間の意識を明確化する。それが自然科学の合理性の結びつき、20世紀の進歩があったという。
それに対し、日本人は「融合」という考え方。だから、パッと切り捨てることができない。相談するから合理的な結論が出難い。良い悪いの問題ではないけれども。

そして、「イエ」の問題。漢字で書くと「家」だけど、読み替えると「世間」だ。

敗戦を契機として日本人は「イエ」を失い、だんだん個人主義的になってきたが、それはキリスト教抜きに輸入しているので、個人を支える「神」がいないという状況になった。そこで、日本人は意識的・無意識的にその支えを求め、結局のところ本来の家族とは別に「擬似イエ」を作り出すことになった。その典型的なものが「会社」である。
これは、まさに「世間」だよね。ところが、この「擬似イエ」も絶対的なものではなくなってきた。だから、「擬似イエ」の行動規範が通用しなくなってくる。それが利己的な行動をする日本人を生み出すことになったという。

あ〜、阿部先生と河合隼雄氏の対談があったらなぁ〜。

「日本人」という病 (潮ライブラリー)
「日本人」という病 (潮ライブラリー)河合 隼雄

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