分数ができない大学生

『分数ができない大学生』を読んだよ。その根は深く、大きい。

分数ができないってタイトルにあるけど、分数だけではなく、数学でできない大学生が大量発生し、そのまま社会に出ていくことの現状と警鐘を鳴らした本。
執筆者はいろいろだけど、俗にいう理学部系数学科の先生はひとりもおらず。なんとなく、分かるような気がするよ。純粋数学とはちょっと離れた話題だからかも。

ポイントは二つ。「考えることの拒否」と「受験の情報戦化」ではないか。

まずは「考えることの拒否」。最近の若者は、感覚的な表現はできるけれども、論理的な表現が苦手だと指摘されている。そして、試行錯誤をせずにすぐに諦める傾向が強い。条件反射的丸暗記教育の結果だと。

もうひとつの「受験の情報戦化」。要はいかに楽に受験し、合格するか。その為に情報を集め、いかに有利に受験を勝ち抜くかだ。それは、数学軽視に繋がっていく訳。数学の苦手な高校生が、受験科目に数学がない大学を受験する→受験生が集まる→同様の大学が増える。
そして、「分数ができない大学生」が生まれるのだ。

教育は中長期的な施策が必要なもの。今から手を打っても、効果が現れるのは中期的なスパン。今すぐにでも手を打たないと日本の将来は危ういぞ〜。

分数ができない大学生―21世紀の日本が危ない
分数ができない大学生―21世紀の日本が危ない岡部 恒治 西村 和雄 戸瀬 信之

東洋経済新報社 1999-06
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おすすめ平均 star
star本当は学力低下を指摘した本ではない
star数学教育の破綻が進んでいるのを見るのは悲しい
star20年後に慙愧の念で回顧されることのないように・・

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