生きて死ぬ私

『生きて死ぬ私』を読んだよ。茂木先生、若き日の原点。

いつものように、これは哲学か?科学か?というような得体の知れない話。でも、そこが新鮮で面白い。

自分の存在と死について、考えさせられる一文。

私たちは、死後、自分が存在しなくなってしまうことを、割り切れないように思う。世界でどんなことが起ころうとも、もはやそれを見、感じる自分がいないことを不条理だと考える。しかし、その一方で、自分が固体としてこの世界に生まれてくるまでの時間の流れの間、自分が宇宙に存在しなかったことに関しては、何の疑問も、不安も抱かない。
ホントだ。自分の存在って、宇宙の歴史と比較すれば、時間的には微々たるもので、生まれる以前っていうのは死んでいたのと同然なんだよね。だから、死ぬっていうことは、単にその時の状態に戻るのかも。これはすごく不思議な感覚。この感覚で死を考えると、死に対する恐怖が薄らぐよね。っていうか、アッシの場合はまったく無くなる。

そして、「悟り」について。筆者は、臨時体験した人が「すべては満たされた状態にある」という至福感を語ることに対して、違和感を持つ。

全知感、あるいは「悟り」というものに、違和感を覚えていたのである。その違和感とは、「悟り」における全知感は、実は、何も具体的なことを知らない状態、すなわち無知の状態に他ならないのではないだろうかということである。
この状態は、
もはや自分にとって未知なものに立ち向かう緊張感が欠けてしまうのではないか。
ということだと茂木先生。そう、どんなに賢い人でも、新しいものに向かう緊張感ていうものがあると思う。それがない状態って、人間として死んでいるのと同じなのかもね。

後半は「意識の変性状態」がテーマなんだけど、対外離脱体験についての話が不思議な感じ。茂木先生は真剣に対外離脱体験を科学しようとしているよ。どうして、ここまで分析する必要があるのかがアッシにはよく分からない。

最後のほうは、エッセイっぽい。内容は若き日の日常だから、まさに原点なのかもね。

生きて死ぬ私 (ちくま文庫)
生きて死ぬ私 (ちくま文庫)茂木 健一郎

筑摩書房 2006-05
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おすすめ平均 star
starその後の著作の方が整理されていて、より深いところまで描写されている。
star青壮年時代の著者の苦悩がこちらの心にまで突き刺さる
star茂木健一郎の「青の時代」。

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