はじめの哲学
『はじめの哲学』を読んだよ。存在の冒険は遭難気味…。
存在の国(今の世の中のこと)の「いちばん最初の根っこ」を探し出すことを、冒険になぞらえて語った本。
存在の国の定義(広さ)から始まって、目指す目標(「いちばん最初の根っこ」を探すこと)の設定をする。そして、「いちばん最初の根っこ」を探す旅に出る。
まずは、一番近道になりそうな科学を手段として目標に挑む。ところが科学も迷信のうちにひとつに過ぎないと…。
ようするに科学における「根っこ」とは、経験の拡大によりいくらでも変化していく、つねに「とりあえずの根っこ」なのです。現代の人間が正しいと思っている科学法則も、後世の人から見ればとんでもない陳腐なものかもしれません。ですから、これを「いちばん最初の根っこ」とするわけにはいかないのです。これはまさに『 99・9%は仮説』に書かれていたことと一致する。要は科学は仮説(ここでいう「とりあえずの根っこ」)の上に成り立っているんだよね。
そして、意識の問題。デカルトの「われ思う、ゆえにわれあり」についても、「いちばん最初の根っこ」にはなり得ないことを、三段論法を使って説明。これは面白い。
存在の国の冒険の旅は続くが、一度結論に近い定義が出る。「生きているから、すべてはある。」がその結論。ところが、冒険の旅はさらに続く。「死後にも世界がある」という仮定。こうなるともう科学とか哲学の問題ではなく、
この存在の国の「いちばん最初の根っこ」とは、私たち人間にとって、「死後の世界の有無」という証明不可能な命題の向こう側に、永遠に封じ込められているわけですから、「いちばん最初の根っこ」を手に入れようとする宗教は、この理性の限界を踏み越えて、「死後の世界の有無」のいずれかに賭けるしかありません。と、宗教の問題になってしまうという。
とりあえず、哲学の初歩として、分かりやすいと思う。哲学者の考えていることがまとめられていると思うよ。
このところ読む本に関連があったのも、アッシ的には嬉しいし。
はじめの哲学 (ちくまプリマー新書) | |
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