刑吏の社会史

『刑吏の社会史』を読んだよ。阿部謹也シリーズ第10弾。

いよいよ阿部先生の処女作に挑戦。内容的には難しかったりそうでなかったり…。

処刑の種類についての説明にかなりの頁を割いているんだけれども、それがなんとなく淡々と説明されていて、残酷度は低し。ただ、処刑にも変遷があり、中世初期にはあくまで偶然刑であったとか…。つまり、処刑により死ななかったりした場合は、それはそれで済んでしまうという。死亡させることが目的ではなく、あくまでも神への供犠であったという。
ところが時代が進み、人と人との繋がりが変化してくると、処刑の意味が違ってくる。もうそれは、供犠ではなく、まさに処刑。だから刑吏は失敗は許されない。厳しい仕事に変わってくる。

そして、その刑吏たち。賎民として扱われながらも、きちんとした収入を得て、彼らなりに職務を全うしていた姿勢が書かれている。そして、次第に個人の成立とともに市民権を得ていく。

中世欧州における個人の成立以前のお話だね。世間論にはまだまだ遠い道のりだけど、筆者の原点に触れてよかったと思える一冊でした〜。

刑吏の社会史―中世ヨーロッパの庶民生活 (中公新書 (518))
刑吏の社会史―中世ヨーロッパの庶民生活 (中公新書 (518))阿部 謹也

中央公論新社 1978-01
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