空白の天気図/柳田邦男

空白の天気図―核と災害1945・8・6/9・17 (文春文庫)』を読んだよ。ヒロシマをもっと知る。

このところ、自分的には柳田邦男氏のノンフィクションがお気に入り。淡々と事実を積み重ねながら、推論を導いていくということが楽しいのかも。ということで、今年に入って3冊目。

舞台は広島。瀬戸内海に近い江波山という丘の上に立つ広島地方気象台。そして、時は昭和20年夏。そう、広島に原爆が投下されたその時。
爆心地からは離れていた為、直撃は免れたけれども、人的にも物質的にも被害は大きい。そんな中でも、気象台としての観測と記録は続けていく台員たち。しかも、記録をするだけでなく、中央気象台に報告すべく、瓦礫の山を越えて原爆投下直後の広島市街を歩き回る。

そして、その翌月。枕崎台風が広島を直撃する。風向、風速、雨量から予想はすれど、予報を伝える手段がない状態の気象台。そして、台風でも甚大な被害が出る。原爆と台風という二つの不幸が重なる広島。想像を絶する…。

後年、当時の様子を振り返る元台員の言葉。

情報途絶下の災害――それはあの特異な時代だけのこととしてもう永遠にないことであろうか。果たしてそんなことは二度と起こり得ないと言い切れるだろうか……。
言い切れないとハッキリと言える。学習しても時間が過ぎると忘れ去られてしまう。あるいは、便利さが優先されてしまう。あるいは誰かの利益の為に…。

副題の「核と災害」。どうやらシリーズ化するようだから、注目していきたい。

空白の天気図―核と災害1945・8・6/9・17 (文春文庫)
空白の天気図―核と災害1945・8・6/9・17 (文春文庫)柳田 邦男

文藝春秋 2011-09-02
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