子どもの難問/野矢茂樹

子どもの難問』を読んだよ。その回答はスッキリと分かりやすい。

アッシの好きな野矢先生。本屋で本書を見かけた時、野矢先生の新刊だとばかり思っていたら、実は編著者。一部、書いてはいるけれども、どちらかというと旗振り役って訳。
元々は中学受験雑誌に連載されていたもの。それに野矢先生が加筆修正したから、編者という立場にもなっているよ。

で、冒頭の「はじめに」から、なかなか哲学的な話になるよ。それは「子どもにしか哲学はできない」と言ってみたり、だからと言って「子どもには哲学ができない」と言ったみたり。当然、それなりの哲学的理由があるわけで、読んでみれば納得してしまうわけ。納得させられたと言った方が正しいかな。

前置きが長くなってしまった。で、本書は子どもが発しそうな問いを哲学者が回答するもの。勿論、問い自身は編者の野矢先生がお題として上げたもの。
そこでアッシの気になる回答を幾つか紹介。

「なぜ生きているんだろう?」という問いに対して、入不二基義氏は、

むしろ、「生きている」ことは、別の何らかの目的や理由のためにあるのではなくて、それ自身の「おいしさ」を生きていることによって開発し味わうためにあるのだと思います。「生きている」こと自体を深く経験するため。これが、あえて言えば、「なぜ」に対する私の答えです。
と答えているよ。いや、きれいな答えだよね。一歩引いてみているというか、メタ的というか。

もう一つ。
「どうすればほかの人とわかりあえるんだろう?」という問いに対して、戸田山和久氏は、

わかりあえない相手とわかりあえないままでどうやって共存していこうか。こっちの問題の方こそ考える価値があると思うよ。
と言い、わかりあえることができない場合に問題を発展させているよ。これもお見事としか言いようがないよね。
そう、哲学的な答えって、その問いに埋もれちゃいけないんだよね。哲学的な問いだけじゃないか。世の中一般の問題も同じだね。
子どもの難問
子どもの難問野矢 茂樹

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