学歴革命/中嶋嶺雄
『学歴革命 秋田発 国際教養大学の挑戦』を読んだよ。人材養成目的の明確化。
副題は「国際教養大学の挑戦」ということで、その国際教養大学の様々な取組みを紹介したもの。筆者はその学長だった中嶋嶺雄氏。「だった」と過去形なのは、最近お亡くなりになったから。本書の中で、国際教養大学が後2年で10年と書かれていたけど、志半ばだったのかも…。合掌。
内容的には、以前に読んだ『国際教養大学…』と重複する部分があるけれども、そこは多少視点を変えて書かれているよ。
キーワードの一つは「グローバル化」。
そして何よりも重要な視点は、このグローバル化は歴史的にもう後には戻れない地点ーポイント・オブ・ノーリターン(point of no return)ーを越えてしまったということです。と筆者は言い、それに対して、日本の大学が全く出遅れてしまっていることを指摘しているよ。失われた20年の間に何もしてこなかったばかりか、違う方向に進んでしまったとも。
例えば、教育課程の大綱化による教養教育の軽視などがそれに当たるわけ。
もう一つのキーワードはタイトルにあるように「学歴」。その定義は、一般には「学校歴」に等しいけど、筆者の定義は「学習歴」。これは前述のグローバル化に対応するためのもの。結局、世界標準への対応なんだよね。ここでも、ガラパゴス化するニッポン有りなんだけど。
そして、東大の9月入学もグローバル化への一つの回答なんだろうけど、筆者は、どこまで本気なのか?と訝しがる。さらに、
大学のグローバル化を果たすということは、結局、それをどう運用するかにあたっての学長および教職員の真剣さにこそかかっているのです。とも。やっぱり、システムよりも運用の問題ってわけ。
途中、筆者の経歴なども披露する。やっぱり、苦労してきた人なんだよね。その中で、もがき苦しみながらも、着実にステップを上がり続けてきたことがよく分かるよ。だからこそ、こういう改革ができるのだと思う。
そして、国際教養大学を「現代の松下村塾」として位置付けてみたり、秋田だからこそできることを考えてみたり。筆者の思いは尽きないよね。
新学長を迎えての国際教養大学の動きは今後も見逃せません〜。
学歴革命 秋田発 国際教養大学の挑戦 | |
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