ガロア/加藤文元

ガロア―天才数学者の生涯 (中公新書)』を読んだよ。ガロアとアーベルの違いが分かった…。

フランスの数学者ガロアと言えば、「5次以上の方程式に一般解は存在しない」ことを証明したことで知られているけれども…。っていうか、これも数学業界で知られているだけであって、ガロアって何?石油の単位?っていうのが普通の反応かも。ちなみに、石油の単位はガロン…。
とは言っても、ガロアの実績は数学業界的には偉大であって、後々への影響も大きいわけ。アッシの知る限りでも、あの「フェルマーの定理」の証明も、ガロア理論が無ければ、達成できなかったのだと思う。

前置きが長くなったけど、そんな訳で本書はガロアの生涯を通して、彼の理論とその理論の数学的な意味などを詳説しているよ。ガロア自身の生涯については、本書を読めば分かるので、数学的な意味について、アッシの気になるポイントをいくつか紹介。

まずは、「構造主義的数学」という単語。
ガロアは、伝統的な問題である「代数方程式の解法」の問題について、この「構造主義的数学」の萌芽とも言える理論構築をしているよ。これがアーベルの理論との大きな差なんだよね。
要は、今でいう集合論を使って、一網打尽にしてしまうわけ。それでも、当時は集合論そのものが存在していなかった訳で、だからこそガロアの理論が分かりにくかったとも言えるんだよね。

さらに、ガロア理論の真骨頂は次の一文で表せられているよ。

・「ガロア理論」とは、数学的対象の難しさを、それに付随した対称性全体から成るシステムの構造によって記述する学問である。
と。そして、これは数学的対象を<難しさ=複雑さ>という観点で捉え、これらを外観ではなく難しさによって捉える学問だということ。まさに構造化だよね。そして、構造化により、より複雑なものを容易に取り扱えることになるわけだし。さっき言った一網打尽とはそういう意味。

20才で死亡したガロア。その死亡の原因は定かではないけれど、彼がもう少し生きていたら、その後の数学界の発展も違っていたことになっていただろうね。勿論、「フェルマーの定理」の証明にも影響を与えただろうし、もしかしたら、今話題の「リーマン予想」にも…。そんなことを思うと、積み重ねていく学問である数学の面白さが伝わってくるような気がします〜。

ガロア―天才数学者の生涯 (中公新書)
ガロア―天才数学者の生涯 (中公新書)加藤 文元

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