消費社会から格差社会へ/三浦展,上野千鶴子

消費社会から格差社会へ 1980年代からの変容 (ちくま文庫)』を読んだよ。結論がよく分からないけど…。

上野千鶴子氏は『サヨナラ、学校化社会』三浦展氏は『下流社会』『下流大学が日本を滅ぼす!』と読んでいたけど、どちらからというと上野氏が何を言うかに興味があり、本書を選択。
で、本を開いて、初めて知ったけど、二人の対談集だった…。

対談の内容は前半と後半で大きく変わるよ。前半は一応本書のタイトルに沿った内容。後半はよく分からない話になるんだけど、それはのちほど。

まずは、教育行政と格差の話。上野氏が、

九〇年代の教育行政から出てきた「個性化」っていうのは、格差を正当化する教育イデオロギーでした。階層格差を「個性化」と「多様化」という教育イデオロギーで粉飾して、「まんまでオッケー!」というメッセージを送った。それを文部省(現・文科省)は自覚的にやっていたと思います。
と言う。学校の問題に詳しい上野氏らしい見解だよね。「個性化」って、今の学校教育としては難しいわけだから、自己責任にしてしまえ…ということ。でも、本当の「個性化」って何だろ。「長所を伸ばす」と捉えれば、またそれなりの解決策も見えてくるんじゃないかなぁ〜。

上野氏の「負け犬」の解釈も面白いよ。

なぜ彼女たちが、自分のことを「負け犬」って自称できたかというと、「負け犬」をパロディ化できるゆとりがあるからこそですよ。つまり「負け犬」という表現にある諧謔が読めていない。裏返して言えば、彼女たちの対極にいるはずの、彼女たちと同じ年齢層の結婚していない男たちは、自らを「負け犬」と呼ぶことすら抑圧している。
う〜む、男女でこんなに考え方の違いがあるのかなぁ〜。何となく酒井順子氏が言い出したから、「負け犬」って女性専用になっているような気がするんだけど…。

でも、結局は世代論のような。上野氏は団塊世代、三浦氏は団塊にいじめられる世代。世代論的には、新人類世代って言われているんだけどね。アッシもその仲間。

さて、本書の後半は、三浦氏の個人的な話。パルコとか西武とかセゾンとか。あまり、興味が無かったので、さっさと読み飛ばす。

社会学でよく出てくる世代論。いつも標的になるのが、団塊世代団塊ジュニア。この二つの世代を通して、他の世代が語られることが多いような。
次は、団塊ジュニアジュニアの時代。そろそろ小学校に入る年齢だよね。何となく教育が肝のような気がするんだけど。手を打っているのか、日本の教育行政…。

消費社会から格差社会へ 1980年代からの変容 (ちくま文庫)
消費社会から格差社会へ 1980年代からの変容 (ちくま文庫)三浦 展 上野 千鶴子

筑摩書房 2010-09-08
売り上げランキング : 121640


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

応援クリックはこちら→にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ