新聞記者/望月衣塑子

新聞記者 (角川新書)』を読んだよ。権力との戦い。

映画『i-新聞記者ドキュメント』を観て初めて知った筆者。映画の冒頭では取材ターゲットに対して執拗に食い下がり、コメントを求めようとする筆者が映し出され、その迫力に圧倒される。本書はその筆者、望月衣塑子が自身の生い立ちから取材に対する考え方、そして、実際の取材をドキュメントとしてまとめたもの。

本書の冒頭は筆者の新聞記者になるまでのストーリー。官房長官の記者会見での質問で出る大きな声と度胸は、演劇で鍛えられたものだったのか…。
その記者会見について、

権力者に対して記者が質問をぶつけることは当たり前のことで、本来であればもてはやされるようなことではないが、今や権力にモノを言えないところまで来てしまった。ジャーナリズムとはかっこいい言葉だが、その限界値が見える気がした。
と筆者。権力とメディアのバランスが崩れていくということか。何を言っても、どこ吹く風は今でも変わらないような…。

そして、東京新聞中日新聞)に入社。記者として、千葉、横浜、埼玉のそれぞれの支局でバリバリと取材をし、内勤の整理部も経験。日歯連の不正献金事件から始まり、森友学園、さらには加計学園の問題まで鋭く切り込んでいく筆者。そして、見えない権力との対峙となっていく。怖いわ~。
そんな中で筆者の打開策は、

紙と電波、あるいは新聞と雑誌といった垣根を飛び越えて、メディアが横方向でつながっていくことが状況によっては必要なのではという考えは、安倍政権になってさらに強くなった。
ということ。メディアミックスとはInternetの時代になり、さらに加速しているように思えるけど。

最後に、

私は特別なことはしていない。権力者が隠したいと思うことを明るみに出す。そのために、情熱をもって取材相手にあたる。記者として持ち続けてきたテーマは変わらない。
と。基本姿勢を貫く姿は素敵です。

新聞記者 (角川新書)
新聞記者 (角川新書)
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望月 衣塑子
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