高大接続改革/山内太地

高大接続改革: 変わる入試と教育システム (ちくま新書1212)』を読んだよ。どちらかというと教育システムの話。

少し前に2021年度からの大学入学共通テストのやり方が急遽変更になったりとかでメディアに取り上げられていたけれども、その構想が発表されたのが2016年。これは、本書のタイトルにあるように「高大接続改革」の一貫であると言われているけど、そもそも「高大接続改革」って何?という感じで分かり難い。受験生やその親に取っては、「入試の方法が変わる!!」ということが最も関心があるところなんだろうけど、そもそもの背景とか意図があるはず。それを解説したのが本書。2016年秋の発刊なので、大学入学共通テストが発表された当時の状況であり、こんなに混乱することは想定外だったろうけど。

では、そのポイントは何か。ひとことで言ってしまうと「受動的な教育から、能動的な学習へ」ということ。能動的な学習の代表格がアクティブ・ラーニングと言われるもの。但し、この改革は人の意識が変わらないから難関。教わる側も教える側も。さらには親も企業も。何十年と継続したシステムは染み付いてしまっているんだよね。

でも、少しでも改革を進めるためにということで、共著者の本間氏曰く、

私は、社会人としての成功の鍵は「最終学歴」ではなく、「最終学習歴の更新」にあると考えています。
そう、生涯学び続ける力とか言われているし、その為のアクティブ・ラーニングであり、学修ポートフォリオでもあるんだろうね。

後半は能動的な学習を実践している高校や大学の事例。やっぱり、大学より高校の方が進んでいるという印象。

最後に、この改革に対する筆者の評価。

「他人にどう見られるか」が自分の評価を決めるのではなく、「自分がどう生きるか」こそが重要。今回の教育改革が、多くの受動的な、他人からの評価で生きる日本人のメンタルを変えていけるのなら、私は前向きに評価したいと思います。
と。いや、時間は掛かると思うし、根っこの部分では残るかもしれない。でも、そういう考え方があるんだよという意識に残ることがよい方向に進むんだろうね。

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