夢見る帝国図書館/中島京子
どこかで紹介されていた本だと思う。気がついたら読みたい本リストに入っていたから。単行本で400頁ほどだから、場合によっては文庫本になってからと思っていたけど、図書館で予約したら思いの外、早めに順番が回ってきて、この年末年始に読了。
構成的には二重奏という感じ。一つは、主人公の「わたし」と喜和子さんの物語。もう一つは、帝国図書館の歴史から日本の近代文学を綴っていく物語。それが、交互に語られていく。2つの小説を同時に読むといった感じだけど、図書館という共通キーワードがあるので、特段に混乱することもなく、読んでいくことができるよ。
では、喜和子さんとの物語はどうだったのか。
「びっくりするほど不自由だったわよ。いまの人には、想像を絶する不自由さだと思うな。江戸時代とあんまり変わらないっていうか。あのね、ずーっとそうだったの。わたしの人生。<中略>本を読んだりするのは怠け者のすることだったし」と「わたし」に語る喜和子さん。そして、喜和子さんの人生を追っていくことになる「わたし」の物語になっていくわけ。
一方の図書館の物語。
「お金がない。お金がもらえない。書棚が買えない。蔵書が置けない。図書館の歴史はね、金欠の歴史と言っても過言ではないわね」と喜和子さんの言葉。今も昔も変わらない。そして、これからも変わらないような気がするな。しかも、役割ややることが増えているしね。さて、引き続き、図書館にお世話になっていくとするか…。