富士山はどうしてそこにあるのか/山崎晴雄

富士山はどうしてそこにあるのか: 地形から見る日本列島史;チケイカラミルニホンレットウシ (NHK出版新書)』を読んだよ。あるべくしてある。

思わず興味を惹かれるこのタイトル。地学好きの自分だからかもしれないけど。少し前だっただけど、ブラタモリでも甲府盆地の成り立ちをプレートの衝突という考え方で説明していたよね。本書も基本的な考え方は同じ。プレートの衝突とマグマの生成が連動して火山ができるわけだから。

おっと、いきなり本題に入ってしまったけど、本書の全体構成としては、富士山の話はごく一部。どちらかというと、副題の「地形から見る日本列島史」が本書の内容をよく表しているかな。そうそう、ちょっと前に読んだ『日本の地形』の最新版という感じ。貝塚先生の話も本書に出てくるし、貝塚先生にも『富士山はなぜそこにあるのか』という似たような著作があるし…。でも、どうして富士山の位置がこれほどまでにテーマになるのか。それは、

富士山が日本の自然景観の象徴である理由は先に述べましたが、その土台は富士山の位置にあります。富士山の美しい山容は、現在の位置でなければ決してできませんでした。
という説明で分かるように、富士山ができた理由だけではなく、美しさにも関係しているんだよね。科学的にいうと、プレートテクトニクス上の特異点といえるようなんだけど。

それでも、この美しさは地球の歴史的スパンで見ていくと、ちょっと変わってくる。

しかし、この美しい姿も、過去からずっと同じであったわけではありません。激しく変化し続ける環境の歴史の中で、富士山が美しいのは現在の一瞬であることも忘れないでください。
と筆者。地球史的には富士山はまだ若い。だから、すくっとしている。この美しい富士山を見ていられるのは、人類の歴史の間だけかもしれないね。なんという奇跡というか、ロマンというか…。何かに思わず感謝したくなるな~。

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