「読まなくてもいい本」の読書案内/橘玲
『「読まなくてもいい本」の読書案内 (ちくま文庫)』を読んだよ。それでも読まずにはいられない。
この本はなんだろうか…。巻末の解説には、
本書が名著であるのは、読書案内の体裁を借りながら、従来の通説を塗り替える秀逸な現代思想史になっているからだ。と説明有り。思わず納得しそうだけど、読書案内の体裁なのは本の題名だけ。そして、現代思想史を語るのは本の力を借りる以外にないのだろうと思うけど。
そして、著者が素直なことに、
本書刊行後、「現代の進化論」の興味深いトピックを集めて、『言ってはいけない―残酷すぎる真実』(新潮新書)という「スピンオフ」を書いた。と文庫版あとがきで白状しているよ。本書がオリジナルであるとも。だから、本書の方が読み応えがあるし、ストーリーもしっかりしているような。
その現代思想史のテーマはさまざま。でも、それらは事例に過ぎず、
この本では“知のパラダイム転換”への入り口として、大小さまざまな驚きを集めてみた。と言う。そう、“知のパラダイム転換”がキーワードということ。そのために、複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義の考え方を紹介しているけれども、それぞれが世間的にはあまり評判がいいとはいえないらしい。
それは素朴な感情を逆なでするからだろうけど、ちゃんと考えれば当たり前のことばかりでもある(そう思ったでしょ)。と説明。あぁ、これは『言ってはいけない―残酷すぎる真実』のスタンスだね。
ちょっとネガティブ風に書いてしまったけど、それぞれの事例やテーマは非常に興味深いことばかり、読まなくてもいいというより、ますます読みたくなりました~。