組織戦略の考え方/沼上幹

組織戦略の考え方 ――企業経営の健全性のために (ちくま新書)』を読んだよ。システマチックに考えてみよ。

読みたい本リストの1冊『組織デザイン』をこの年末年始の休みに読むことを急に思い立って、図書館を探してみたけど、取り寄せる時間がなく、断念。その代りにと同著者の本書がkindle版で出ていたので、買ってみる。便利な世の中になったもんだ。

初出は雑誌「プレジデント」。だから、ビジネスパーソンが気になる話題を上手くまとめて、提供したなというイメージの本。自分的にも、「はぁ、そうだな。」、「これ、あるな。」とか、かなりの部分で納得できる話題が多かったから。

まずは、官僚制組織について。「官僚的」っていうと、世間的には批判の対象となりがちだけど、筆者はまずはこれを組織の基本とする。それは、

創造性や戦略性を強調する政策をとろうと考えている企業も、まず自社の官僚制機構という足腰のチェックをするべきである。官僚制組織という足腰が揺らげば、どれほどきらびやかな戦略も絵に描いた餅にすぎないのであり、そもそもミスへの対処に忙しくなって、戦略を考えるヒマなどなくなってしまうのである。
ということ。つまりは基本を押さえないと、創造や戦略に力を発揮する余裕が生まれないということ。御意。

そして、システマチックな仕事の仕方について。

まず仕事の多くをプログラム化し、そのプログラムで対応できない例外をヒエラルキーによってその都度上司たちが考えて処理する。これが組織設計の基本中の基本である。
そう、これも大切な考え方。まさに足腰だからね。

組織の「集合財」という考え方も面白い。そこから派生するフリーライダーの存在とか、「集合財」を生産する人たちとか。例えば、

たとえば社内における名誉の配分や面白い仕事の配分、至極当たり前の「ありがとう」という言葉、などなど、もっと多様なインセンティブを総合的に使って、積極的に集合財を創ってくれそうな中間層をいかに確保するかということを考えないと、エリートたちが集合財生産に忙しすぎて早死にしてしまうかもしれない。
とか。

最後に、トップについて。決断できないとダメをハッキリ言っているけれども、その他にも、

考えてみれば当たり前のことだが、社員の総意を反映した「落としどころ」という答えしか出せず、決断ができない経営者・管理者は不要である。
とか。そう、「落としどころ」って逃げだよな…。戦略がないってことだもの。やっぱり、戦略ありきってこと。でも、これも内部戦略と勘違いする御仁もいるわけで…。はぁ…。

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