日本の地形/貝塚爽平

日本の地形――特質と由来 (岩波新書)』を読んだよ。複雑怪奇。

岩波新書の青版だから、昔も昔、1977年の発刊。それでも定番として、本屋の棚に並んでいることもあるから、名著なんだろうね。自分的には、ふと思い立って、本書を手に取る。もともと、地形とか地質とかには興味があって、地形図を眺めるのも好きな方。造山運動とか、プレート・テクトニクスとかも、ある程度の知識はあるつもり。でも、それらを体系的に頭のなかで整理できているかというとそうでもなく。ということで、本書で一気にそれらをまとめてみようという魂胆。

日本の地形を考えるに当たって、確認しておかなかればならないことは、やはりプレートの動き。日本の東側の海の底には海溝というプレートの沈み込みがあるのは有名だけど、世界にはその反対のプレートの生産をする海嶺があるということ。大きなものが大西洋のど真ん中にあって、それがアメリカ大陸とユーラシア大陸を分離・移動させた原因。ここまではわかるけど、そうなると太平洋は狭まっていいと思うんだけど、それが現象として確認されていない。いや、宇宙の歴史から言ったら、人間レベルの確認なんて、雀の涙以下のレベルなんだろうけど。

そこで、やっと日本の地形。まずは富士山。

プレート境界と火山フロント(または火山帯)が交叉する所は世界にここしかない。また、三つの島弧が会合する所も世界にここしか知られていない。したがって、富士山の位置は世界で唯一の特異点である、と言うことができる。
と。特異点だからこそ、あの特徴のある優美な山体を眺めることができるんだね。ありがたい。

しかも、日本の地形を形作るのは、プレートや島弧だけではない。隆起・沈降、火山、氷期間氷期の気候変化、河川による侵食と体積など。そして、近年は人工的な地形の改変が盛んに行われてきているよね。複雑怪奇と書いたけど、細かい条件設定が多過ぎるということ。でも、それが地形を読むのが楽しい理由なんだよね。車窓から地形を見るのも楽しいよなぁ~。

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